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ころん先生とは、当たり障りのない話をした。


大学ではバイトをした方がいい、とか、変なサークルには気をつけて、なんて忠告もしてもらった。



『先生は私が心配?』



意地悪で聞いてみたら、



「当たり前じゃん、可愛い生徒だし。」



なんて平然とした顔で言われる。



『…先生にとって私とは』


「他の生徒よりかはちょっと特別な生徒」


『どーゆー意味ですか』


「んー…目が離せないっていうか」


『え、馬鹿にしてますか?』


「違う違う」



楽しそうに笑うころん先生を見ていれば、私の方まで楽しくなる。



「じゃあ、榎本にとって僕は?」



予想もしていなかった質問に、唸ってから答えた。



『大好きな先生です。』



本音も嘘も少しずつ混ぜた答え。



「…やけに素直じゃん」



かーわい、なんて愛おしそうに言うから、胸が締め付けられる。


ころん先生の私に対する可愛い、は生徒に向けての言葉だ。


決して、1人の女性として見てもらえている訳じゃないのに。


でも、他の生徒に滅多に可愛い、なんて言わない先生にちょっと期待しちゃうじゃん。


期待するだけ無駄だって分かっているのにね。



「ん、どうした?」


『なんでもないで…ブェッキシュイ!』



何とも、女の子らしくないくしゃみをしてしまった。



「お前…もっと女の子らしくしなよ」


『まぁ、先生の前なのでいいかって』


「おい」


『はい』



そう言うと、先生はため息をつきながら、自分の着ていたパーカーを脱いで、私に渡してきた。



「これ、着て」


『え、でも先生が寒くなるじゃないですか』


「僕は大丈夫。寒いのに屋上にしよって言ったのは僕だしね。」



お礼を述べながらパーカーを羽織ると、まだ温もりが残っていた。



「大丈夫そう?」


『はい』


「ならよかった」



大好きな匂いに包まれて、幸せだなぁ、なんて。


綺麗な先生の横顔を見ながら、私はそっとため息をついた。


もっと好きになっちゃうじゃん、ばか。

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設定タグ:すとぷり , ころん , 先生   
作品ジャンル:恋愛
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千景(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます…曲自体が素敵な歌なので、雰囲気壊しそうで怖いですが、頑張ります!(私自身、ゆゆさんの作品を幾つか拝見させて頂いているので、コメント来た時にすごく驚きました(笑)本当にありがとうございます。) (2020年1月25日 20時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - おおおお……曲の雰囲気を壊さずに世界観をぐわーっと広げていてとっても読みやすいです。私の求めていた作品見つけられた気がしてます笑 更新頑張ってください〜! (2020年1月25日 10時) (レス) id: 1ae9e757ea (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - 千景さん» いえいえ、!これからも応援してます…! (2020年1月20日 19時) (レス) id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - RIKOさん» そう言って頂けて嬉しいです…!!ありがとうございます。 (2020年1月20日 17時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - はじめまして!この作品凄く好きです!!更新頑張って下さい! (2020年1月19日 18時) (レス) id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千景 | 作成日時:2020年1月14日 9時

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