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『先生、ここ教えて』


「んー、どこ」



あれからほぼ毎日、私はころん先生に勉強を教えてもらっている。
担任のさとみ先生に頑張っている理由を聞かれたが、それは内緒にしておくことにした。



「A、今日も放課後ころん先生のとこ行くの?」



そう不満そうな顔で聞いてくるのはるぅとくん。
可愛い顔をしていて、優しい性格のため男女共に人気のある彼は何故か隣の席の私によく絡んでくれる。



『行くよ、どした?』


「…放課後一緒に帰れないか誘おうとしてただけ」


『そっか、ごめんね』


「…ころん先生んとこ、僕も行っちゃダメですか?」



首をコテン、と傾げてくる彼。
まるで自分のあざとさを分かっているかのようで、少し悔しく感じてしまう。



『別にいいけど…』


「けど?」


『先生に聞かないと…』


「聞いてきます!」



そう言うとるぅとくんは少し急ぎ足で、でも私が着いてきているか確認しながら職員室へと向かっていく。
そんな優しい所がモテる原因かな、なんて。



「ころん先生」


「なに〜?」



私達が着いたとき、先生は丁度昼食を食べていたようで、口をもぐもぐさせながら返事をした。



「僕もAと一緒に勉強してもいいですか?」


「るぅとくん、榎本と違って頭いいんだから勉強する必要なくない?」


「それはそうですけど」


『ねぇ、酷い』


「でも…」



るぅとくんが下を向いてそう言いかけると、先生は納得したような声を出した。




「るぅとくんは榎本の彼氏だもんね」


『え、ちょ、違います』



そんなこと言われたらるぅとくんも迷惑なはずだ。
そう思って彼の方を向くと、何故か顔を赤らめていた。



『るぅとくんも否定してよ』


というと、彼は慌てて「違いますっ!」なんて返事をしていた。



「…若いっていーね」


『だから違いますって……第一、私は先生のことが』



好き



そう言おうとしていた。



「僕?」


『…いや、なんでもありません』


「そっか」



そう言った先生は何故かどこか寂しそうだった。



「先生も彼女つくればいいじゃないですか」


「いやぁ、この学校の女の教師って皆既婚者だし、さすがに生徒に手は出せないしなぁ…」



そう苦笑いで言う先生を見ていれば、胸が痛くなるのがわかる。


先生、教師と生徒の関係じゃなかったら私と付き合ってくれた?


喉まででかけた質問を無理矢理奥に押し込んで、



「ですよね」



と、自分の思いとは正反対の返事をした。

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設定タグ:すとぷり , ころん , 先生   
作品ジャンル:恋愛
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千景(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます…曲自体が素敵な歌なので、雰囲気壊しそうで怖いですが、頑張ります!(私自身、ゆゆさんの作品を幾つか拝見させて頂いているので、コメント来た時にすごく驚きました(笑)本当にありがとうございます。) (2020年1月25日 20時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - おおおお……曲の雰囲気を壊さずに世界観をぐわーっと広げていてとっても読みやすいです。私の求めていた作品見つけられた気がしてます笑 更新頑張ってください〜! (2020年1月25日 10時) (レス) id: 1ae9e757ea (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - 千景さん» いえいえ、!これからも応援してます…! (2020年1月20日 19時) (レス) id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - RIKOさん» そう言って頂けて嬉しいです…!!ありがとうございます。 (2020年1月20日 17時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
RIKO(プロフ) - はじめまして!この作品凄く好きです!!更新頑張って下さい! (2020年1月19日 18時) (レス) id: 2f1eb9db7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千景 | 作成日時:2020年1月14日 9時

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