検索窓
今日:1 hit、昨日:48 hit、合計:39,324 hit

・talking(hk) ページ2






 高い位置に取られた窓から入ってくる、燦々とした日差しのあたたかさを感じながら。
リビングで盛り上がる声に耳を傾けつつ、キッチンでお茶を淹れる。

 季節は春、もうすぐこの家に越してきて四度目を迎えるその時期。
最近では珍しくなった全員が集まっている光景。

 これから年数を重ねていけばいくほどに、より見れなくなってしまうものだと思えば淋しい。

 もう暫くすればまた新たな生活を始める日が来て、新たな一歩を踏み出すメンバーもいる。
変わらないようでいるメンバーだって実はなにか少しずつ変わっているのかもしれない。

 仕事に学校、異動や就職進学となればめまぐるしく環境が変わっていくもので。

 そんな中でも、このハウスでの生活だけはどこか―――変わらずに迎え入れられる場所であればいい、と願う。

 「ひかる?」

 「なんでもないよ」

 九人分の飲みものをふたつのトレーへ乗せて。
数の少ないほうをいのちゃんに託すと、それを手にリビングへ足を向ける。

 そこではみんなが思い思いに座り、テレビ画面へ目を向け楽しそうに話をしていた。








 「やーっとみんな出てき始めた」

 「ほんとゆーてぃって人を撮らないんだね」

 並んでソファーに座っている、山田と知念。
そのふたりの横、ひとり掛けのスツールに薮。

 「たまに圭人が入り込んでたくらい?」

 「あとの人影はうっかり写り込みました、みたいな感じだね」

 心霊写真じゃないんだから、なんて。

 ソファーとテーブルの間、ラグに直接座り込んでいる大ちゃん。
その後ろにあるソファーにゆったり沈み込んでいる雄也。

 「学校行事で出掛けたときは渋々撮ってたよね?」

 「それはね、さすがに。でもデータは残ってないと思う」

 「えっ、消しちゃったの?」

 ラグに座り、なにか思い出すように宙を見上げている圭人。
その横でタブレットを操作しながら渋い顔で頷く裕翔は、なにか悪いことでもした?と不思議そう。

 「いい写真、あった?」

 「うわ〜懐かしい・・・」

 トレーをテーブルに置きつつ、そう聞けば。
マグカップをみんなに配っていたいのちゃんは目を瞬いて。

 「さっきから話すのに夢中で全然進んでないな」

 薮が肩を竦め指摘すると、みんな一斉に浮かべる苦笑い。

 「まあ、いいんじゃない?たまには」







 こんな、貴重な時間を過ごすのも。



















↓→←・reminiscences



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (131 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
218人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 麻李有さん» こんばんは。さっそくお読み頂きありがとうございます。お好きな展開になっていて良かったです。今後もどうぞお付き合い下さい (8月28日 20時) (レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
麻李有(プロフ) - こんばんは、遅い時間にごめんなさい。先日リクエストをさせて頂いた者です。こんなに早く書いていただき本当にありがとうございました!とてもとても面白くて私が好きな展開のお話でした。本当にありがとうございました。また次のお話も楽しみにしています。 (8月27日 23時) (レス) @page49 id: 6cf1168dd8 (このIDを非表示/違反報告)
麻李有(プロフ) - リクエスト了承いただきありがとうございます!いつまででも待ちます。ご無理だけはなさらないで下さい。楽しみに待っています! (8月17日 21時) (レス) id: 6cf1168dd8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - トーストさん» とんでもないです。むしろなかなか思い浮かばず、出来の悪いもになってしまって申し訳なかったです。これからものんびり、お題消化していけるように頑張ります<(_ _)> (8月15日 12時) (レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 麻李有さん» 改めてコメントありがとうございます。また、ご理解頂けたようで良かったです。リクエストの件、承りました。時間掛かるかもしれませんが、お待ち頂ければ幸いです。よろしくお願いします。 (8月15日 12時) (レス) id: ff1d608c56 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2022年8月1日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。