1話 ページ2
「高尾ー。ちょっといいかー。」
ある日の放課後俺は担任の先生に呼ばれた。
今から部活なんスすけど。と思いながら先生の元へ重い足取りで行く。
「なんすか〜、俺なんも悪いことしてないですよ〜」
頭を掻きながらおどけたように言う俺を先生は一瞥して話し始めた。
「いや、お前のことじゃない。同じクラスの佐々木のことなんだがー」
「え?佐々木?誰っすかそれ」
予想外の話の内容に思わずびっくりしてしまう。
なんだ、騒いでいたのを注意されるのかと思っていた。
「あぁ、高尾は知らないか。中1の時は別のクラスだったもんな。同じクラスに佐々木ってやつがいるんだが中1の夏頃から不登校でな。中2になった今は全く学校に顔を出してないんだ。お前、佐々木と家が近いからプリント届けに行ってくれないか?」
そう言い、先生は机に積んである沢山のプリントに目をやった。
そういえば中2に上がってから一つだけ誰も座っていない席があった。
今の今まで座っているのを見たことが無かったのはその生徒が不登校だったからのようだ。
「高尾、了解でーす。」
部活に早く行きたい気持ちもあり二つ返事で了承した。
「悪いな。それと出来たら学校に来るよう催促してほしい」
付け加えるようにして先生が言う。
というかそれが一番の目的だったのではないだろうか。
「えっ!俺にそんな大役務まると思います?」
プリントを届けるだけでなくそんな大役があるなんて。
第一全く面識の無い同級生からいきなり学校に来てほしいと言われても説得力が無いというか、なんというか。
すると先生はフッと笑った
「高尾のコミュニケーションの高さならきっと大丈夫さ」
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作者名:かにかまさん | 作成日時:2024年3月13日 23時