愛のない国【wrwrd!】「募集企画」『満員御礼！！！』 (ページ5)

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プロローグ4 ページ5

……眠い。

なのに眠れないのは…

……ここが危険だから。

あっちも、こっちも危険。

どこも眠れる場所なんてない。

何日も何日も彷徨い歩いて疲れ果てて。

それでも寝たら死ぬと思った。

ｻﾞｧｱｱｱ…

今日は生憎の雨で体温も奪われ、眠る事なく死んでしまいそうだった時。

『ごきげんよう、迷える者。』

ふと、雨が止んだ。

でも目で見た景色は雨で間違いない。

朦朧とした意識の中で上を見上げると…

『雨の中で体温が奪われているだろう。

すまないが今、付きの者が居ないんだ。少し我慢してくれ。』

隻眼が映える黒髪の色白の女が立っていた。

もう抵抗する気力もない。

いつの間にか私は横抱きにされ、雨の当たらない安全な屋内に入ったようだ。

…暖かい安全な場所。

「おかえり…って、えぇ！？ホノカ、誰ッ！？」

『以前のお前と同じ立場の者だ。名は知らん。とにかくコイツは助ける。以上だ。』

何かしらぎゃあぎゃあと声が増えたが何だかよくわからなかった。

でも眠っちゃいけない、と頑張る私に声が降ってきた。

『別に寝たければ寝てもいい。』

……そんなの、無理に決まってる。

心の中で少し悪態をついたがどうやら声に出ていたらしい。

『何故だ？』

嫌がられている訳ではなさそうだが、私を抱えている女はとても貫禄がある。

その貫禄に押されて答えた。

「安全か…保証がないから…。」

…誰にも私の命を奪われない、安心して眠れる場所かなんて保証はない。

小さな声で答えた私に女はまた言葉を返した。

だが、あまりにも予想外な言葉で驚いたのを覚えている。

『そうか。なら私がお前が安心して眠れる様に見張っていてやろう。』

「は……？」

何をわざわざそんな事を…？？

しかも見ず知らずの他人に…？

『体を洗うぞ。体も温まるはずだ。』

どうやら連れて来られたのは風呂場。

…しかし私の体は衰弱しきって動かない。

すると女はまたもや予想外の事をする。

『ま、女同士だ。気にすることはあるまい。』

え？？

次の瞬間…

ﾋﾞﾘｯ!!

……私の服は素晴らしいくらいに引き千切られていた。
_____________

『はぁ、出来た。』

「あ、新しい服…？？」

風呂というのは実に気持ち良かった。

くすんでいた銀色の髪の毛も硝煙の匂いがした頬も綺麗になり、フローラルの香りがするほどだった。

しかも新しい服まで用意されている。

……ここで疑問になってくるのは…

「何が…目的…？」

続く→