episode.39 ページ39
◇貴方side
今日の私は、“七瀬由紀”という名前。
資産家のおっさんの持ってるであろうデータの奪取が今回の任務内容だ。
「会えて嬉しいわ、魅力的なオジサマ？」
会いたくもなかったわオッサン。
資産家「いやぁ、君みたいな可愛い女性と会えて嬉しいよ」
「私も嬉しいわ、こんなに紳士的なオジサマとお近づきになれて」
ここは奴の家。無駄にギラギラ光らせた宝石達が散りばめられて、こんな所に住めるかって思っちゃう。
資産家「これは年代物のワインでね、楽しみにずっととっておいたんだ」
そう言ってワインをいい音をたてて開けた。
このワインもこの宝石達も、違法で儲けた汚いお金で手に入れたものだ。
「いいのですか？私なんかに」
資産家「君だからだよ。こんなに魅力的な君と飲めるなんて、このワインだって喜んでるに違いない」
「まぁ、嬉しいですわ。ふふっ」
――虫唾が走る。
私の立っている下で、ベロンベロンに酔っぱらった資産家の男。
そして部屋にあった目当てのデータを手に入れてその場を後にした。
終わった後、プライベート用のスマホにメッセージが入っていた事に気が付いた。相手は、今ものすごく会いたい人。
車を走らせて、自分の部屋に入りお風呂に直行。
シャワーを浴びて、“七瀬由紀”をどんどん流していった。
ガチャ
松田「おーおかえり。遅かっ……！？」
陣平さんの家に直行したらすぐに彼が迎えてくれて、その彼にすぐ抱きついた。
「ただいま！」
力強く彼を抱き締めると、彼もぎゅっと抱き締めてくれた。
やっと、“降谷A”に戻れた。そんな感じがした。
松田「おかえり」
頭を撫でてくれた。
どうして私がこんな事をしたのか、きっとバレていると思うけれど、聞くことはしないって分かってる。彼はそういう人だ。
ありがとう。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 477人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆな
| 作成日時：2019年9月18日 9時
