episode.34 ページ34
◇貴方side
「ダメ、こんな泥沼に足突っ込んだような私じゃなくて……」
松田「それは、俺が決めることだろ。お前が決める事じゃない」
「……」
松田「お前は、どうなんだよ」
「……」
松田「ホントのことを言えよ」
ホントの、事。
松田「何だよ、信じらんねぇってか。俺に嘘なんて言って、どうなるか分かってんだろうな」
「……脅し?」
松田「そうだよ、脅しだよ」
う、わぁ、言っちゃった。言えやゴラ!ってほっぺた引っ張られるけど、地味に痛い。目、怖いんですけど。
松田「お前らが今いる所はよく知ってる。危険と隣り合わせな場所だって事はな。覚えてるだろ、あの組織壊滅作戦。お前らがボロボロで帰ってきた時、本当に後悔したんだ。もし、お前らが萩原や伊達や諸伏みたいに離れていったら……残りは俺一人だろうが!」
「あ……」
松田「死んだ奴には、もう何言ったって伝わらない。こう言っとけばよかった、だなんて今更思ったって無駄だ。だから言ったんだ。後悔なんてしたくない」
お前はどうなんだよ。そう聞かれて、何も言えなかった。
あの爆弾魔事件で萩原さんが亡くなって、交通事故で伊達さんが亡くなって、悲しかった。言いたい事、沢山あった。
陣平さんだって、死んじゃうかもしれないって思った時には頭が真っ白になった。だめ、死なないで、自分を犠牲にだなんて絶対だめ。そう思った時には、知らぬ間に体が動いていたんだ。
「……公安になって、皆さんと連絡を絶った時、すごく悲しかった。喋りたい事沢山あったし、やりたいこともあった。でも、萩原さんと伊達さんに、何も言えずにお別れしちゃって……後悔してる」
また会えるなら、って思っても、それは絶対にできない。だから、今私の中では後悔しまくりだ。
でも、本当にいいのだろうか。
・
477人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆな | 作成日時:2019年9月18日 9時