【おそ松さん】十四松が十四回目に泣いた日

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｢ねえ、聞こえる？｣

｢あのね、ごめんね｣

｢僕が野球しようなんて言ったから｣

｢だめだよね、雨降ってたのにね｣

｢だから学校でもいじめられるんだよね｣

｢こんな僕だから｣







やっとできた友達も失ってしまうんだよね









「ま、つの」

しゅこー
しゅこー
と、人工呼吸器の中で声を放つ




｢今、なんじ｣

まぶたが重くて目も開けることもできない

口だけが開く



｢夜の10時だよ｣

少し驚いたのか、間をあけて松野は言った


｢体、動かない｣

｢さっき手術したばっかりなんだよ
動かないでね｣

たどたどしく言う



｢体…ひりひりしてる｣

｢雷に打たれたんだもん
そりゃ、そうだよ｣




雷

そういえばそうだった

松野とキャッチボールしてたらいきなり雷が落ちてきて

バットで頭を殴られるような
アンモニアを直で吸ったような

とにかく体から煙が出てきて





｢は、っ
まつの、泣いて、んじゃん｣

目を開けなくてもわかった

｢うん、ごめんね｣



何に対してごめんね、と言ってるのだろう



｢まつの、泣きむし、だね｣

まつのの涙、見るの12回目だよ

まつの、の手
あったかいな




｢手、握っちゃダメだよっ…
包帯まいてるから
まだ傷が、｣

｢｣

｢ね、ねえ？｣





しゅこー




しゅこー

人工呼吸器の中で息だけが続く







｢おやすみ｣

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