１８９． ページ43
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「これでもうだーれも登って来れねェ」
私たちが登ってきたのを確認し、鷹岡はハシゴを落とした。ここからは多分私じゃなく渚に向けてなんだろう。こいつは話し始める。
「足元のナイフで俺のやりたいことはわかるな？この前のリターンマッチだ」
「待ってください鷹岡先生！闘いに来たわけじゃないんです！」
「だろうなァ。この前みたいな卑怯な手はもう通じねぇ。一瞬で俺にやられるのは目に見えてる」
色々言いたいことはあるけれど、私は余計なことを言わないように口は開かない。
「だがな、一瞬で終わっちゃ俺としても気が晴れない。だから闘う前にやることやってもらわなくちゃな。そのためにそこの栗原Aにも来てもらったんだ」
渚を呼んだのはリターンマッチのため。じゃあ私はなんで呼んだんだ、という疑問が晴れた。なんとなか察しがつく。
鷹岡は私と渚を交互に見たかと思えば、ニヤリと口角を上げた。
「謝罪しろ。土下座だ」
元々鷹岡は、私をいたぶって、謝罪をさせて…生贄にしようとしていたんだから。その計画が変わっても謝らせたいことには変わりないんだろう。
…最悪。
「まずはお前から。…実力がないから卑怯な手で奇襲した。それについて誠心誠意な」
起爆スイッチを弄りながら地面を指差す。
渚は、私の少し前で膝をついた。
「……僕は、」
「それが土下座かァ！？バカガキが！頭こすりつけて謝んだよォ！！」
『…っ！』
「……僕は、実力がないから卑怯な手で奇襲しました。…ごめんなさい」
地面に頭をつけて謝る渚。
私はそんな渚を見ていられなくて目を逸らす。
「おう、その後で偉そうな口も叩いたよな。“出て行け”とか。ガキの分際で大人に向かって、生徒が教師に向かってだぞ！！」
「ガキのくせに、生徒のくせに…先生に生意気な口を叩いてしまいすみませんでした。本当に…ごめんなさい」
鷹岡は渚を見てニヤリと笑い、そして私の方を向いた。
ゴクリと唾を飲む私に、こいつは頭を上げた渚の隣を指差す。
「…さーて、次はお前の番だ」
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