６５． ページ16
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「まずはスクワット100回かける3セットだ」
『けほ…』
私は、磯貝くんに背中をさすってもらいながらも端っこで腰を下ろす。
…スクワットとか私なら3回でキツイわ。
「抜けたい奴は抜けていいぞ。その時は俺の権限で新しい生徒を補充する。俺が手塩にかけて育てた屈強な兵士は何人もいる」
『っは、じゃあその兵士に殺せんせーのこと殺させて見せろよ』
私の精一杯皮肉を込めた呟きが聞こえたのか、鷹岡は話を止めてこちらを向いた。
前原が隣で「バカ…」なんて頭を抱える。
「まだお前は分からないようだな。父ちゃんの言うことを聞けないやつは力ずくで聞かせてやるぞ？」
『…えげつないな』
まぁ、こいつの言うことなんて死んでも聞きたくないけど。
「…けどな、俺はそういう事したくないんだ。お前ら大事な家族なんだから。──家族みんなで地球の危機を救おうぜ！」
私から離れたかと思いきや、三村と神崎さんに腕を回す鷹岡。
おいこら。てめぇ誰の許可得て神崎さんに触れてんだ殺すぞ。
『な───ったぁ！』
立ち上がろうとした私は、磯貝くんと前原に押さえられて動けない。
抵抗しようとしても、さすがに男二人に力で勝てるほどゴリラじゃないんで。
「お前は黙っとけ」
『離してっ！！』
もちろん私の言葉は完全に無視。あとで覚えてろよ。磯貝くんは許す。
YES以外の答えは受け付けないとでも言い出しそうな威圧感で神崎さんの顔を覗き込んだ鷹岡は尋ねる。
「な？お前は父ちゃんについてきてくれるよな？」
『神崎さんに触んないで！』
「おまっ…！」
隣で前原がぎょっとしているのを確かめるよりも先に鷹岡はゆっくりとこちらを向いた。
「───な、何でもないです…っ」
そんな鷹岡に、磯貝くんは私の口を塞ぎながらいつものイケメンスマイルではぐらかす。
優秀！！優秀だけども！！
『っん、…んんん！！』
「…とりあえずAは口出すな」
「お前まじで殺されるぞ」
『んん───っ！！』
暴れる私を必死で押さえつける2人。
神崎さんの元へ行くことも、口を出す事も出来ない。
「あの、私…、私は嫌です。烏間先生の授業をご希望します」
神崎さんがにこりと笑った次の瞬間、この場にパシッ…という乾いた音が響いた。
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