６３． ページ14
·
そして翌日の昼休み。
この後は訓練のため、私たちは体育着で校庭にいた。
「どう思う？」
「えー…私は烏間先生の方がいいなぁ」
『私もそう思う。絶対に烏間先生の方がいいでしょ』
陽菜乃ちゃんの言葉にうんうん頷いていれば、岡島が「でもよ、」と声を発した。
「実際のとこ烏間先生なに考えてるかわかんないとこあるよな」
『…そう？』
「いつも厳しい顔してるし、飯とか軽い遊びも誘えばたまに付き合ってくれる程度で」
普通にそんなもんじゃない…？
本校舎にいた頃は誘おうとも思わなかっから分かんないけど。
『…お前は先生になにを求めてるんだ』
友達じゃないんだぞ。この変態野郎め。
「いや、…でもさ、その点あの鷹岡先生って根っからフレンドリーじゃん。案外ずっと楽しい訓練かもよ」
何とも言えないような表情をするみんな。
岡島の言うことも一理あるっちゃあるけど、私は納得いきません。
大きなため息をついた私は手を組んだ。
『あのねぇ岡島くん、フレンドリーならいいってもんじゃないのよ』
「く、くん…？」
『烏間先生の授業だっていいところ沢山あるもん』
沈黙が流れたところで「そうだよね…！」と嬉しそうに反応してくれたのは陽菜乃ちゃんだけだった。
水を差すように私をちらりと見て口を開いたのは前原。
「本音は？」
『あんなデブなおっさんよりイケメンとイケボを兼ね備えた烏間先生がいいでーす』
「お前そういうとこあるよね」
·
「さて、訓練内容の一新に伴ってE組の時間割も変更になった。これを皆に回してくれ」
「……時間割？」
訓練が始まり、回されてきたプリントを見て思わず絶句する。
あらまびっくり状態。
『うそん、死んじゃう』
授業は10時間目まで。
そんな一日のほとんどが訓練で、勉強の時間なんてほんの2、3時間程度。
「うそ…でしょ？」
「10時間目…」
「夜9時まで…訓練……？」
戸惑うみんなに、私は「…だから烏間先生の方がいいって言ったじゃん」と誰にも聞こえないくらいの声で呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 427人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
