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爽やかで甘い、:09 ページ9

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「……ほんとにお前酔ってる?」

心配したように、金田一はこちらに目をやる。
あからさまに顔をゆがめた俺は、それをはっきりと否定した。
「は? 酔ってねえよ。酔ってるのはお前だろ」
「だってお前、今まで人の怪我とかあからさまに心配したことねーじゃん」
「……あー、ほら、いるだろ木通先輩。あの人と重ねただけ」
「ふーん」

嘘はついていない。先程思い出した、寂しそうに笑ったサークル内の先輩は、確かに木通先輩だから。
ただ、どこか興味深く見てくる金田一に、なぜか冷や汗が流れる。特に悪いこともしていないのに、なぜだろう。

「まあ、いいけどな」なんて、金田一は運ばれてきた刺身を食べ始めた。赤身が光っているように見える。
金田一の「うまい」と伝えているかのような、緩み切っている顔を見て、俺も箸を持った。



「また来てね金田一くん、国見くんも! またカカオフィズ作ってあげるから!」

出口まで来てくれた菊池さんは、俺達が外に出ても手を振ってくれていた。軽く会釈をしながらアスファルトを踏む。

秋物のコートではもう寒い。ただ、冬物を買いに行くのは億劫。どうしようか。

そんな面白くもないことを考えていると、まだ頬が赤みを帯びている金田一は、ニヨニヨしながら俺と肩を組んだ。
あまりしたことの無い行動と、あまりの力強さに、反射的に手が出そうになる。しかし、その顔が妙にムカついて、手が留まる。もっと困ることをしてやろうと思ったからだ。

「チッ、離せよ」
「そんなイヤな顔すんなって! な、国見、お前あの人に惚れただろ?」
「はぁ? 菊地さん?」
「そりゃそうだろ!」

何を言っているのだろうか、コイツは。
俺が菊池さんに? まさか。まだ会って数時間なのに、そんな対象で見られるはずもない。
相手のことも知らないし、菊池さんが俺のことを知っているわけではないのだから。

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作者名:ふいぁさ | 作成日時:2018年10月27日 7時

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