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20日目 ページ24

「絶対に許さないッ!!!!!!!!」




燃え盛る炎と叩きつけるように降り注ぐ雨は

まるでガイアの外側を炙り、内側をえぐるような痛みをもたらした




義兄と剣の稽古をする時はいつも刃のない剣を使う




怒りに任せ、無慈悲に叩きつけられる大剣の重さを受け流すことでミシミシと腕がなった







だが、今はどうだ

互いの剣の刃と刃が交わる瞬間、それはキリキリと耳の奥にこびりつくような音を出す





うるさい雨に、耳障りな刃の擦れる音




ぬるま湯に漬かり惚けていたガイアにとって、それはあまりにも冷たすぎた






その冷たい音は、耳から脳へ、やがて肺をも凍らせ、冷気が体に中を駆け巡った



キンっと心臓が痛む


不格好だが、丁寧に塞がれていた彼の胸の穴は、無慈悲にも義兄によってえぐりとられた






そしてそこを冷たい塊が覆い隠し、


ドクンッ





脈動を始めた






その瞬間、当たりを包んでいた炎に覆い被さるように水色の氷の結晶が埋め尽くす





はぁ....と吐いた息は、凍てつくような寒さで、気管が凍ってしまうのではないかと錯覚した






自分でも何が起きたかわからず、殴られ、叩きつけられ、朦朧とした頭で必死に状況を理解しようとする




寒い

なんだこれは




どうして義兄さんは驚いた顔をしているんだ

どうしてこんなに寒いんだ





どうして俺に神の目なんて....







神様は、悪趣味で残虐な王だった





「君は....そんなに大切なことも僕に隠していたのかっ!!!!!」







泣きそうな、嘘であって欲しいと願うような悲痛な叫びとともに俺の冷気はもみ消された







ーーー俺はカーンルイアのスパイなんだ

ーーー義父さんが死んだのを見た時、面白いと感じてしまった






ーーー裏切り者




僕たちに向けていた笑顔は全部嘘だったのか

僕たちと約束したことは全ては空絵事か




僕たちが優しくする度に、陰で嘲笑っていたんだろう



父さんの死を侮辱するなんて....絶対に許さないッッ







全て事実か

否、事実ではなかった




ガイアは確かに愛を感じた

撫でられる手も、向けられる笑顔も、全て愛おしくて...





切なかった




優しくしてもらう度に死にたくなった

迷惑をかける度に謝りたくなった

自分がここにいることが、どうしても場違いに感じられた





ほかの全てのことが全部信じられなくても

彼らだけは信じていられた







それも全部、事実である

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????**(プロフ) - 初めまして!設定も考察もすごく私好みで読んでいてとても楽しかったです!姉に甘々な弟達かわいいです♡忙しいとは思いますが更新楽しみにしています! (9月20日 4時) (レス) id: 64f0606ce3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らっか | 作成日時:2022年2月26日 13時

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