第三章 ページ26
それからというもの、彼は私を様々な場所へ連れていった
服を新調したのはもちろんのこと、璃月港の中の行きつけの店や講談、最近では海灯祭があったらしく、花火の調合や影絵まで遊ぼうといってきた
それはまさに子供が親を前にはしゃぐ様子そのものであり、私が楽しんでいるのか、はたまた彼は楽しんでいるのか分からないほどだった
だが、久しぶりに見た彼の無邪気ささえも感じさせるような笑顔に、全てどうでも良くなってしまったのも事実だ
「次はどこに行くのですか?鍾離先生」
そうだ、ひとつ、服以外にも変わったところといえば、私が彼のことを先生と呼ぶようになったことだろう
「今のお前は、俺に様などをつけて呼ぶ必要は無い、もっと気軽に呼んでくれ」
「で...ですが、鍾離様に敬称を抜かすなど...」
「じゃあ先生って呼べばいいんじゃない?鍾離先生って結構色んな人が読んでるみたいだし」
公子がいったその一言により、彼のことは先生と呼ぶようになったのも最近の話だ
さすがに敬語もはずせと言われた時には卒倒しそうになったが、彼はまたもや悪びれもなく愉快そうに笑ったあと「冗談だ」と一言こぼした
冗談でもそのような冗談はやめて欲しい
「軽策荘には訪れたか?あそこは昔と随分違うようになったが、美しくなった、古い歴史には趣深いものが沢山ある」
そういって軽策荘の絶景を二人で見たのが昨日の話だ
毎日のように璃月を巡っていた私たちをどこか暖かいような、期待を孕んだような目で金髪の旅人とその相棒である少女は見つめてくる
街ですれ違う度に嬉しそうな顔をするものだからすっかり絆されてしまった、魈がなぜ彼らを気にかけるようになったのかは十分にわかった
妖魔を収める力を持つ二胡を奏でるために、夜に一度慶雲頂に戻り、そして終われば港に戻るという生活を送る
何千年も味わってこなかった新鮮な感覚に、確かに胸は高鳴っていた
◇
「で?先生は結局お嬢さんのことどう思ってんの?」
「どうとはどういうことだ」
「そのまんまの意味だけど...」
相変わらず箸の扱いが慣れていない公子殿を横目で見ながら質問の真意を尋ねる
彼がいったお嬢さんことAの方をみると、現在は旅人達とともに近くの骨董品店に入っているようだ
まじまじと品物を物色する彼女の隣で、複雑そうな顔をしている旅人とその相棒の少女のの図はとても微笑ましく、思わず笑みがこぼれた
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らっか(プロフ) - 白鷹。さん» うわーー!!ありがとうございます!!長々とくどい話もありましたが....次作もよろしくお願いします!! (2022年2月26日 13時) (レス) id: 673fcfd1a8 (このIDを非表示/違反報告)
白鷹。(プロフ) - 完結おめでとうございます‼︎自分も色々考えてさせられて楽しかったです‼︎次回作も追わせて頂きます‼︎‼︎ (2022年2月26日 13時) (レス) @page36 id: aa069cf9f2 (このIDを非表示/違反報告)
らっか(プロフ) - はっかさん» あ"っ!!!!ありがとうございます...!!亀更新ですがどうぞよろしくお願いします!! (2022年2月7日 6時) (レス) id: 673fcfd1a8 (このIDを非表示/違反報告)
はっか(プロフ) - めっっっっちゃ好きです、、!!更新応援してます!!! (2022年2月5日 10時) (レス) @page20 id: 849b00c654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らっか | 作成日時:2022年1月9日 16時