繋ぐ (ページ16)

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16.黒ずくめの正体ページ16

相葉さんが行方不明になってから4日がたった

連日この事件について見ない日は無いほど報道が流れている

マスコミが騒ぎ立て俺たちの不仲説から始まり有ること無いことがでっち上げられ、決まっていた仕事が無しになったものも

肝心の捜査の進展は驚くほどになく、信じたくない最悪の事態が頭をかすめ始めていた

リーダーも、翔ちゃんも潤くんも

俺も

みんなショックで、混乱していて

なんでこんなことになったのか

その理由も見えないからなおさら

何よりあの人がそんなこと…って、信じられない気持ちが大きくて

「どこ…行ったんだよ」

ポツリと、呟いた僕の声は

西日が差しこんだ殺風景すぎる部屋に空しく響いた

どうしてなのかはわからない

でも、この部屋を見ればあまりにも準備が整いすぎていて

斎藤君の言う通り、この相葉さんの部屋からはきれいに物がなくなっていて

俺たちが今までプレゼントした物も、あの人が大切にしていた物も

全部なくなっていた

まるで…こうなることを分かっていたみたいに

「なんでだよ…なんで…っ」

相葉さんへの怒りが湧くと同時に
それ以上に彼の胸中を知らなかった自分に怒りと悔しさと、自責の念が募る

どうしようもない気持ちが涙となって溢れ出してきた

“4人が望む方に進んでくれたら、それがいい”

あの時の彼の言葉が浮かぶ

.

「馬鹿じゃねぇの…」

膝が力なく落ちて

ぎゅっと握った拳が涙で濡れていく

「どこだよ…っまー…くん

どこいったんだよ…！」

.

その時だった

突然何かの気配を感じてはっと顔を上げた

日が落ちかけて徐々に暗くなり始めた空間

その向こうに

黒い人型のシルエットが、落ちかけた日を背に浮かんでいた

思わずびくっと身体が震え、瞬時に立ち上がる

「…誰」

いつからいた？どこから入ってきた？

後ろポケットから携帯を取りだし握る

すると

その影がゆらりと動いて、少し前へ出た

光の加減でその姿が露わになった

スーツのような、黒ずくめの服

俺と同じくらいの背丈

丸味を帯びた黒い帽子を被っている

男…？

そして、その帽子をゆっくりとると
現れたのは幾分子供らしいあどけない顔だった

次の瞬間、そいつは俺を見ると

にっこりとほほ笑んで言った

？：「初めまして。私、“死神”と申します。」