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14.なんで… ページ14

相葉くんが、いなくなった

血相をかえたチーフマネが現れたのは、いつのもようにTV収録のため楽屋で待機していた時だった

マネ：「相葉くんの行方が分からないらしい…」

相葉くんのマネージャ、斎藤君の話によると

個人の取材の仕事が終わり、TV局に向かうため準備をし戻った所
楽屋には荷物だけがあり相葉さんの姿がなく、それからどこを探しても見つからなかったという

その日の収録は当然中止。事件性も考えられるという事でその後の個人の仕事もどうしても無理なもの以外はキャンセルし、自宅待機となった

翌日、朝一で相葉くんを覗く俺たち4人は事務所に呼ばれた

S：「防犯カメラには、本当に何も映ってなかったの？」

マネ：「あぁ…一時的に画面が乱れていたらしい。おそらく、その間にいなくなったのだろうと考えられているが…」

警察による捜査が行われているが、手掛かりは一切ないようで
防犯カメラに彼の姿が一つとして映っていないどころか
局を出る彼を見たものも一人もいないという

貴重品も何も持たず

相葉さんは忽然と姿を消してしまった

マネ：「お前たちの中で、最近のあいつに違和感があったり、何か気がかりなことはなかったか…？」

…

みんな口をつぐむ

端から見れば、予兆とか、そんなのは感じられなかったと思う

だって、相葉さんは何も変わらなかったから

どんな現場でも、変わらず楽しそうに

笑顔で、一生懸命だったから

でも

そう、確実にその笑顔の下に

あったんだ

黒い影が

あの時、感じたあの影は…

口を開きかけたが、チーフマネが先だった

マネ：「斎藤君の話によると、ここ最近急に片付けをしたり、まるで終活のようなことをしていたらしいんだ。それは確かだったようで、あきらかに自分がいなくなった時のための準備が完璧になされていたらしい。警察も、はじめは事件性の可能性が高いとみていたが…」

そこまで言って、その先を言う前に口を結んでしまった

その表情は、悔しそうな、悲しそうな…

その思いがじわじわと伝わってくる

隣にいる潤くんの息が震えた

M：「なんで…」

小さな声が聞こえて、潤くんは髪をくしゃっと掴む

なんで…

静かな空間にけたたましい着信音が鳴り響いた

チーフマネの携帯だ
マネは携帯を見ると顔をしかめた

マネ：「社長だ…。ちょっとすまん。」