死の見える瞳【wrwrd!】 (ページ8)

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食事は毒の可能性を考えたが、態々銀食器を使うあたりその様な可能性は少ない為、警戒しながらだが口にする事にした。

食事を終え、皿を片付ける為彼女は一旦部屋を退出する。

俺が気を失っている間、どれ程の時間が経っているのだろう。

オスマンとひとらんは無事だろうか。
トン氏にはまた心労ばかりかけてしまっているだろうな。

そんな事を考えていると、ドアが開くと共に彼女が帰ってきた事が分かった。

『では、包帯を取り換えましょう。一人では大変だと思いますので私がお取替えしますね。』

gr「ああ、頼むゾ」

包帯が巻かれた左前腕部を彼女の前へ出し、対面する形になおる。

距離の縮まった彼女を盗み見た。
遠目からでも全体的に色素が薄く、白く見えるとは思っていたが予想より白くきめ細かい肌にスッと鼻筋の通った端正な顔立ちだ。

『銃創に裂傷があるので至近距離から撃たれたのでしょう。傷の周り塗り薬を塗り込みましょう。』

準備していた救急箱のような物から軟膏容器を取り出し、薄緑色の薬を指に付けて傷に響かないよう銃創の周りに塗り込んでいく。

薬を塗り終わり、新しい包帯を丁寧に巻いてく動作はとても手際が良い。

その調子で次々と頭、胴体と包帯を変え、頬のガーゼを取り換えてくれた。
包帯の交換を全て終えると、また椅子に座り直した。

『これで終わりです。左前腕部の銃創は完治までしばらく掛かりますが、その他は1週間程で治ると思いますので』

gr「成程、すまないな。貴女には迷惑ばかりかけてしまっている」

『？…気になさらないで下さい。私が好きでやっているというのもありますから』

彼女は一瞬キョトンとすると、何でもないようにそう答えた。
救急箱の蓋をパタンと閉めると、再度こちらに向き直った。

『さて、治療の方も一段落しましたし…これからの話を致しましょう。』

その言葉に一気に不穏な空気が流れ出した。俺も警戒心を上げ多少なりとも身構えた。

『…アドラーさん。貴方が何処の誰なのか私には分かりません。人には誰しも秘密というものは付き物、貴方が名乗る時に自身の名前を濁したのも何か事情があるということでしょう。』

今まで纏っていた柔らかく軽やかな雰囲気は一切消え、ピリッと張り付くような空気に変わった。

『貴方の服装が軍服、しかも数多く付けられた勲章は…きっとそういうことなのでしょう？国境近くの廃れた場所に傷だらけ…しかも、貴方の服はこの国で支給される軍服ではない。』

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