6話 ページ8
「……どう言うことか、教えてくれる?」
死にたくない。
彼女はきっと、そんなことを思いながら、頷いた。
彼女は話す。
「私が新人のとき……奥様や旦那様、おばあ様の話を聞いてしまったんです」
◆
「で、効果は出ているのかしら」
「いや。初潮を迎えたら……もしかしたら」
なんの話をしているのか、わからなかった。けれど、
「娘が初潮を迎えるなんて……私たち、その時いないわよ」
貴女が関係するとわかり、より聞き耳を立てた。
「安心しなさいな。私が、あの子を監視する。効果が出れば、伝達者を寄越すわ」
「唯一、あの子が数多くの被験体の中で、優秀だったからな」
被験体。
それは実験用語に使われるものだ。そこで、私はわかった。
実験体にされてるんだと。
◆
「なるほど……」
と、コナンが腕組みをして言った。
あたしは何とも思わなかった。だって、私には記憶がない。
家族がいたっていう。
「もういい」
「え?で、でも、ちゃんと話を致しました!」
「何を勘違いしてるのか……話は、もういいって言っただけ」
うんざりしたように言う。
あたしはもう、彼女と前の関係には戻れなさそうだ。
信頼なんてするもんじゃないね。
まなかは逃げるように、タクシーを拾い、去っていった。
シェリーが小声で聞いてくる。
「A。あなた、アレを飲んでじゃなかったの?」
言ってなかったっけ。
「突然、仕事をしていたらなった」
「……遅くに効果が出たと言うことね」
「なら、親を覚えていない貴女は、効果がなかったから、記憶を消されて捨てられたかもしれないわね」
そう考えるのが普通だ。
だから、もうこのことは考えるのはよそう。傷付くのは、
これ以上体験したくない。
「しぇ……アイ、帰る?」
「いえ。江戸川君達と調べてる」
あんな人たちに何がわかるのか、わからないけど。
「昴さん。送ってあげてくれない?」
シェリーが言った。
「構いませんよ。車で来ていましたので」
「……はぁ」
ひとりで帰りたかったが、同じ方向で、隣と言うことならば
それに、小学生のあたしは一人じゃ駄目だ。
「運が悪い……」
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暁の雨 - Aliceさん» ありがとうございます! (2017年6月26日 18時) (レス) id: e8dddc3b1a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 続編おめでとうございます (2017年6月24日 9時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
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