45話 ページ47
赤井side
「俺は、君の遠い親戚だよ」
「そう……なんですか」
嘘をついた。
それは、彼女が記憶喪失だからだ。
あの爆発で、体こそ何も重傷はなく、軽傷ですんだが。
後遺症と言うのか、記憶を失ったのだ。
名前などは少なくとも、覚えているようだった。
参宮A。
本名ではない方の、名前。
だが、彼らと家族と、俺の記憶はない。
接した人間を覚えていない。
「……名前は、なんと」 「赤井秀一」
「あ……っか、ぃ……さん」
苦しげに絞り出すように、彼女は言った。
母と父はハーフでも、外国人でもなかった。が、
祖母がハーフだった。
彼女の行方は掴んでいる。
近いうち、行くつもりなのだ。
「呼び捨てで構わない」 「はい……」
「えっと、し、しゅー……う、いち……」
「そう」
「あれ……なんか、上手く言えないです」
「君は異国の血が混じってるんだ」 「へー」
言わないでおこう。
彼女が、思い出すまで。
思い出してくれるまで___幸せなひとときを
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暁の雨 - Aliceさん» ありがとうございます! (2017年6月26日 18時) (レス) id: e8dddc3b1a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 続編おめでとうございます (2017年6月24日 9時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
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