【名探偵コナン】冷たい時雨は暖かくなるか。

４０話 ページ42

あたしが組織に入ったのは、ベルモットに勧誘されてだ。

ドブネズミのような生活をしていたあたしを、彼女が拾った。

色々試練とか出されて、それを難なくクリア。

まぁだから。
ジンに気に入られてしまったわけで。

体の関係にまでなってしまった。

特に何とも思わなかった。
彼もあたしも、お互いを愛してないから。

いや、ジンは兵器としてあたしを愛でていたか。

「……アカイ」
大好きな人の名を口にする。

「アカイ。ア、アカ、イ……あ、ぁ……
あが、い"。げほっ」

慣れない日本の発音を言うも、気持ち悪くなり、咳き込む。

でも、正確に名を呼びたい。

「う……あ、あか……っうう……」

気持ち悪さが増す。
ので、壁にもたれ、深呼吸をする。

吸って、吐いて、吸って、吐いて。

少し気持ち悪いのは収まった。

「……あ、か……げほっ。ぁ、あきゃ……違う。
あかい"……い"、い"……」

なんで。言えない。

あたしの母親は、フランス人でもなかった。なのに、どうして。


「あ、か、ぃ……?」
その時。

あたしは彼の名を、漢字で呼べなかったが。
日本の発音で、呼べた。

今なら、言える。



「ぁ、あか、っい……助けて……」

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