38話 ページ40
Aside
「会いたかったぜ、キャロル。
組織から逃げるなんて、薄情な女だなァ」
縄で手首を拘束されて、天井から吊るされている。
足は付いてるけど。
手首が痛い。
「あたしは……別に、会いたくなかったけど」
「そんな事が言える立場か?」
「俺に従順だったお前に、俺は裏切られて、
悲しかったんだぞ」
「……嘘つけ」
「はは。裏切られた理由、今でも覚えてるぜ」
◆
「キャロル……お前……なぜ、裏切った」
「理由を、最後に教えてあげる」
その光景はとても、
心地がいいものじゃなかったわ。
けれど、あちこちに銃弾で撃たれたジンを見て、冷たく言ったのだ。
「犬は必ず……一度は、飼い主に噛むの」
◆
「一度は、ってことは、まだ噛むんだろう?」
「ええ。よく覚えてるのね」
「愛してるからなぁ、お前を」
嘘つき。
貴女はあたしを犬としか見てないくせに。
あたしも、貴女なんか愛してはなかったけど。
「ねぇ。キャロル。貴女はスパイなの?」
「ベルモット……」
一番嫌いな女。
「んなわけないでしょ。スパイみたいな、
コソコソしてる奴をあたしが、始末する役割だったのに」
「それで、ノックじゃない可能性は無いわよ。お馬鹿さんね♪」 「……ムカつく」
と、ベルモットを睨んでると、
「まあいい。キャロルを降ろせ」
「あ、兄貴!?」
「いいから、降ろせ。ウオッカ」
強い迫力に、ウオッカはあたしを降ろした。手首の拘束は外さず。
ジンが、あたしの手首を掴んで、言う。
「ついてこい」
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暁の雨 - Aliceさん» ありがとうございます! (2017年6月26日 18時) (レス) id: e8dddc3b1a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 続編おめでとうございます (2017年6月24日 9時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
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