【名探偵コナン】冷たい時雨は暖かくなるか。

３１話 ページ33

「どうして……」

急に元に戻ったのだろうか。
ぼんやりと考える。

と、

「それが……あなたの、本当の姿なのね」
「っお母様……」



「……似てる」
彼女はそう呟いた。

「誰に、ですか?」

「私の母親に」
「母親……」

お父様は確かに、あたしをお婆様に似てると言っていた。

一緒に実験を見てた人は、お父様のお母様だったはず。


「母も、そんな眼をしてたって。あなたみたいに、光を失っていた……

でも、光を取り戻したらしいわ。
父に出逢って。

ひかり……あなたも、そんな人、出来た?」

さっきとまるで別人だった。
だって彼女、

母親みたいな眼をし始めたんだ。

愛しげに、うっとりとした眼を、此方に向けてくる。

母が言う"そんな人"。それは

「好きな人のことね……いる」
「そう、そうなの……」

あたしは嬉しかった。

純粋に本当の親子の会話をしたようで。
だから

ああなったんだ。

「名前はね……!」
そう言って、彼女の顔を嬉しげに見上げたとき、

「……え」



彼女の額に赤い、穴が空いていた。

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