26話 ページ28
「……最初から、感じてた。お母様は、ひかりを大好きじゃないなぁって」
それでも、あたしは
お母様。あなたに好かれようと頑張った。
「それが何をしても、無駄だったんだってのは……まなかに聞いて、わかった」
「まなか?アイツが……!」
これが、ひかりのお母様か。
残念。いい人だと思ってたのに、悪い人だったなんて。
「……とりあえず、今日は帰りましょう」
ライが言った。
ひかりは
「わかった」
あっさりと刃物をしまった。
ヤエが言う。
「ひかり……ごめんなさい。私は」
そんな彼女に、ひかりは
「さようなら」
そう告げた。
◆
「………」
帰りは、お互い無言で歩いていた。
それもそうだ。優しいお母様が、狂った正義主義者のような奴だったんだから。
絶望もいいところだ。
「ライ」
「……なんだ」
スバルと呼ばなかったけれど、彼は返事をしてくれた。
彼女は両手を伸ばし、
「抱っこ」
「………」
ライは無言だったが、
彼女を抱き上げた。そして、優しく背中を心地よいリズムで叩いた。
「………」
全部、この人生が夢ならばよかったのに。
夢から、覚めたい。
その頃の、八重は
一人、人混みの中に立ち尽くしていた。そして、ぶつぶつと呟いているのだ。
「ひかり……ごめんなさい。私は
今夜、貴女をさらうわ」
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暁の雨 - Aliceさん» ありがとうございます! (2017年6月26日 18時) (レス) id: e8dddc3b1a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 続編おめでとうございます (2017年6月24日 9時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
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