10話 ページ12
「………」
今は、何時だろう。
汚い男に触られながら、そんな事を思った。
特に快楽とかは感じない。
と言うのも、スイッチをOFFにしているからだが。
それでも男は変に興奮して、止まらない。
いまごろ、シェリー達はあたしを捜しているのだろう。
……いや、どうでもよくて、放っているかもしれない。
あたしはどっちでもよいが。
「へへへ。そろそろ、俺の息子の相手をしてもらおうか」
「………」
アケミがこんな状況に置かれていたら、きっとライは助けていた。
なんか遺言でも遺しておきたかったな。
あー、シェリーにメールしようか。
ライが短髪になった。捜してくれって。
「………」
あたし、メールの打ち方知らないや。
またそんな呑気なことを考えながら、ゆっくりと目を閉じた。
もう、大丈夫。
これ以上あたしは傷付かない。
ライが生きているってだけで、心の傷口は塞がった。
____キャロル。
……ああ、
______俺がお前を護ろう。家族の代わりだ。今日から俺が、父親だ。
本当にあたしは……
___だから、助けてほしいときは、名前を呼べ。
ライを……
______助けに来てやる。
好きなんだ。
諦めきれないんだ。
本当に、本当に小さな声で。あたしにしか、聴こえない声で、
「……ライ」
彼の名前を呼んだ。
その時、
パアンッと音共に、男の手から血飛沫が出た。弾が発砲されたんだ。
何者かによって。
「うわああああああああ!?」
「……何が、起きてるの……」
男はあたしを置いて、死にたくないから去った。
あたしは
「……ライなの?」
あたししかいない、暗闇にそう言った。
すると、声が返ってきた。
「残念だが、俺はライではない」
「は?」
けれどそれは明らかに、ライの声だった。そして、また弾を発砲した。
あたしを捕らえていた、手錠を撃ったのだ。
手首を回したりして、言う。
「じゃあ、貴方は誰?その撃ち方は、ライのモノだと思ったんだけど」
「俺は……ライではない。別の人物だ」
「べつ……」
なんだっけ。
ジンが昔言ってた気がしたけど……。ライじゃなくて、別の人物関係。
ワスレタ。
「俺を捜せ」
「……どうして?」
「お前も俺に用があるだろう、だから俺を捜している。違うか?」
図星。
なら、見つけたら、ちゃんと理由を話してくれると?
「……わかった。捜す。そのときは、理由を教えてよね」
「ああ_____ありがとう」
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暁の雨 - Aliceさん» ありがとうございます! (2017年6月26日 18時) (レス) id: e8dddc3b1a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 続編おめでとうございます (2017年6月24日 9時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
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