9話 ページ11
Aside
「おはよう。と言っても、もう夜だけど」
「……シェリー?」
なぜここに……と言うか、ここはスバルの家ではなかった。
博士の家だった。
連れてこられたのか。
「今日……帰ってきたとき、携帯に知らないアドレスがあったから、電話した」
「そう。で?」
「……電話に女性が出た」
「その声を聞いた瞬間、動機が早くなって切った」
女性が誰か、未だに分からない。
でも、あたしはあの声……
聞き覚えがある。
「知り合いに間違いはないでしょうね」
「ええ。……あ」
「どうしたの?」
ベッドから起き上がり、コートを着る。
「ちょっと、A!」
「出掛けてくる」
「何いってるの。こんな夜に!」
「散歩してくる。いい?」
「ダメに決まってるでしょう!?」
声を荒げるほどでもないのに……。ジン達に見つかる、リスクが高いから?
「いってきます」
「なっこら!」
窓から飛び出す。
シェリーは、研究者だったので、運動神経はあたしには劣る。
◆
繁華街。
そこにあたしは来ていた。
それは、ライの情報を集める為に。そう言えば、日課だったのにと思い出したのだ。
子供の姿なら、話し掛けやすいし、話し掛けられる。
「お嬢ちゃん。迷子かな?」
さっそく来た。
「うん。パパとママとはぐれたの……おじちゃんは、ママ達の……知り合い?」
そこで、足をもじもじとさせ、スカートを上へと上げさせていく。
男は目が釘付け。
でも、そのもうすぐ見えると言う所で、止める。
「あのね、それとね、あたし、人を捜してるの」
「うんうん。誰かな?」
「男の人!髪は腰より下くらい、目の下に隈みたいな模様があって、ニット帽を被ってるの」
うーんと唸り考える男。そして
「ああ、何年か前に、そんな男を見たよ」
「!最近は?」
「見たよ。でもー、前と違って、髪は短髪になっていたなぁ。お嬢ちゃんの捜してる人かい?」
ライ。
でも、短髪。本人じゃないかも。
けれど、探す手掛かりは突き止めた。
「ありがとう、おじちゃん。じゃあね!」
と言って、背を向ける。
___が
「おっと。ちょっと、待った」
「………」
ひょいっとあたしを持ち上げた。
「お嬢ちゃんは、おじちゃんのタイプなんだー。来てくれるかな?」
「……お断り。あたしには大事な人がいるの」
「ははは。忘れさせてあげるよ」
「がぁっ」
そこで、男はあたしを殴った。
____快楽でね。
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暁の雨 - Aliceさん» ありがとうございます! (2017年6月26日 18時) (レス) id: e8dddc3b1a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 続編おめでとうございます (2017年6月24日 9時) (レス) id: 1a1e66043f (このIDを非表示/違反報告)
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