本編20話byアイル ページ27
「よっす、姉さん♪待ったぁー?」
へラリと笑えば、これまた旦那に負けず劣らずの不機嫌顔で振り向かれる。
「遅い。」
「ごめんってぇ」
俺は煙管をブラブラと弄びながら口角をあげる。
「さてさて、世間話でもしましょーか」
パチン、と手を叩けば、俺の背の3分の2くらいある瓢箪が現れる。
この中にはねえ、夢と希望(酒)が詰まってんだよ!
「世間話…。ものは言いようとはよく聞くものだ」
「全くお前は…仮にも妖怪の中で1番永く生きる者であろうに」
姉さんと旦那から同時に説教をうけ、俺は肩をすくめて瓢箪の酒をつぐ。
「っま、そんなつれないこと言いなさんな」
ゴクリとひと口呑み込めば、甘く美味い香りがフワリと口の中に広がる。
あー、これだよ、これ!
「んん、やっぱ上手いねえ。…ところでね、お二人さん。そろそろ世代交代の時期なわけだが」
ピクり、と2人の眉が動く。
世代交代__それは何百年か何千年かに一度ある、妖怪界をまとめる長の交代。
妖怪とて、永遠の命を持つわけではない。
何千年か、何万年か、寿命だってあるし、そもそも怪異とは、噂で成り立つ不安定なモノ。
いつ消えて亡くなっても可笑しくないモノ。
なのに世界を確立させて、国を成り建ててるのが可笑しいと俺は思うんだけど。
ま、それは置いとくとして。
「そりゃね?日本三大妖怪と称された俺らよ。千年万年生きててさ、いつ亡くなったって可笑しくないわけで、こーして山奥、表立った妖怪界の事には感傷しないでいたわけでしょ?」
「そうだな。」
「ま、けどさ、やっぱ気になっちゃうワケよ。それに、この時代は何か違う気がすんだよね。
__先代が成そうとして成せなかったことを成す気がする」
「成そうとして成せなかったこと、と?」
「ああ。」
姉さんが酒をひと口呑む。
「それは、何と?」
「そうねえ、例えば_?
人間と妖怪の共存、とか___」
俺の言葉に、旦那が目を見開く。
「童子、お前…」
「例えばの話よ、例えばの。」
姉さんが、少し目を尖らせて言った。
「我等は伊達に万年も生きていない。今まで共存を目指し、そして折れていく輩を何度も見たであろう。
幾ら其方とさして変わらぬ歳であろうが…力の強さに戦き眠りについていた者が。
出来ると申すか。
あの_自分の力が未だどれ程のものかも理解せぬ娘に。
少なくとも、妾は思わぬ」
うーん、姉さんは璃瑠に厳しいねえ。
九尾同士だからね、お互いに感じちゃうトコがあんのかもねぇ。
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桜羅@雪松(プロフ) - 南さん» 本編始めちゃいましたけど、途中カラでよければ設定書いて下さい! (2017年9月8日 17時) (レス) id: 4e603903c5 (このIDを非表示/違反報告)
星月 - すいません、参加したかったんですけど、無理そうでした!!自分の作品で手一杯なの忘れてました(汗)すいません。 (2017年9月6日 19時) (レス) id: c3425be62a (このIDを非表示/違反報告)
桜羅@雪松(プロフ) - 大丈夫ですよ!一緒に頑張りましょう!! (2017年8月31日 20時) (レス) id: 4e603903c5 (このIDを非表示/違反報告)
南(プロフ) - 桜羅@雪松さん» ごめんナサイ・゜・(つД`)・゜・スマホ没取されてて妹のケータイから来ました!スマホ返してもらってから更新がんばりますので頑張って下さい!! (2017年8月31日 20時) (レス) id: d49b5a64c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜羅@雪松(プロフ) - こんなさん» 参加しますか?← (2017年8月29日 12時) (レス) id: 4e603903c5 (このIDを非表示/違反報告)
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