ママが帰ってきた！？

No.15 ページ15

.




ねぇ太輔？




私ね、ずっとずーっと


太輔と陽月のこと見てきたよ








太輔がどんなに辛くても
陽月の前では絶対に泣かないことも知ってる




夜泣きのひどい陽月を
一生懸命寝かしつけてたことも




なかなか離乳食を
食べてくれない陽月の為に
何度も作り直してたことも





全部、ぜーんぶ知ってるよ？









全部....全部....見てたんだよ





だから太輔が困った顔をする度


何度も何度も手を伸ばしてたの....





陽月が転びそうになった時

太輔は慌てて陽月の元に走ってたけど

到底間に合いそうになかった時....


私は陽月を支えようと手を伸ばしてた






だけど





助けることも触れることもできない

私の手をすり抜けて陽月は

転んじゃった....







いつも....いつも....私の手は




２人をすり抜けて........






ぁあ....もう何もしてあげられない。





そぅ何度も痛感してきた









ねぇ泣かないで？



....私の愛しい２人。









ガチャンと自分の部屋に


閉じこもった後


ベッドに腰掛けてずっと泣いてる陽月




そんな愛する娘の姿を


ただドアの側から見てることしかできない私








｢........ごめんね？ひーちゃん｣




伝わらない想いをボソッと呟いた









陽｢....................ママ？｣







え？





....嘘







まさか....ね







陽｢ねぇ....ママなの？｣







........やっぱり嘘じゃないｯ




陽月が....こっちを見てる






こんな事ありえるの？





ねぇ神様、どうしちゃったのよ....







陽｢............ママじゃないの....？｣





｢私....が....見える....の....？｣



声が震える....



陽｢....みえるよ？｣






｢嘘....でしょ....｣





陽｢やっぱりママなんでしょー！？｣








どうなってるのかわからない不安




でも

それを上回る誤魔化しきれない嬉しさ






陽｢ママーーーーｯ！｣




陽月が両手を広げて

嬉しそうに飛びついてくる





危ないｯ！



私はすり抜けちゃ........ギュッ


すり抜けてない？





嘘........触れられる....





自分の娘を抱きしめることが

出来るなんて

思ってもみなかった






ギューッと抱きしめると


陽月も嬉しそうに


ギューッと抱き締め返してくれた









ねぇ神様



どうゆうつもりですか？




一度こんな幸せな想いしたら

もう離れるなんて


残酷なこと....できないよ

No.16→←No.14

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す