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ハッピーエンドは許されない:緑 ページ9

目を開けた。
もう何度も見た光景。
照りつける憎ったらしいほどの太陽。

今日は6月21日。

一度目のときは、機嫌よく出かけて行った彼の背中。
二度目のときは、その出かけて行った彼の背中を追った、でも見つけられなかった。
三度目のときは、彼の背中を見つけたけど間にあわなかった。

そんなことを繰り返してもう何度目だろうか。
いつも失敗に終わり、そしてまた今日を過ごしている。

いつの間にか自分の顔色は悪くなり、いつおかしくなっても不思議ではなかった。

運命というものは残酷だ。
一度通ったものはどんなに抗おうとしたって曲げてはくれないのだから。

「じゃあ、行ってくるね」

夕方には戻るよ。
そう言って微笑む貴方を見たのも何回目だろう。
でも、私は微笑み返して。

「いってらっしゃい」

そう言うしかないんだ。
…でも、ようやく結末を生み出すことができた。

今日は6月21日。
最期にと鏡の前に映る自分の顔を見つめた。

「さぁA、張り切っていこう!」

不思議と恐怖はなかった。
むしろ安心できる私がいた、だから目の前にいる自分は振り切った笑みがでた。

履きなれた靴を履いて外へ駆け出す。
向かうのはおついちが足を進める目的地の前の大きな交差点。
繰り返していた身体はもう十分体力がついた。

今日は晴天、気温も上昇。
だけど出かけるにはもってこい。

「おついち!」

彼に突っ込む信号無視の車に意識は向けさせない。
振り向いて驚いた顔をする彼に、私は一番の笑顔を向けた。
そりゃそうだ、おついちは外出先など口にしていないのだから。

おついちの背中を強く押したら、反転する視界。
思い切り轢きとばされたのだ。

貴方の目を見開いた驚いた顔。
自分のことなど考えず、怪我していない彼を見て良かったと安堵した。

響く悲鳴やクラクションの音。

貴方が私の名前を叫ぶ声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じた。

今日も最っ高に憎い夏至日和だった。



________
あれ…?
おついちさんばかりこんな話になってしまう。

非合理的か感情か:赤→←距離と違和感:青



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設定タグ:2bro , 兄者弟者 , おついち
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作者名:sky | 作成日時:2018年5月17日 23時

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