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距離と違和感:青 ページ7

何故私は今こんなところにいるんだろう。
目を覚ませば冷たいコンクリートの地面に横たわっていた。
水滴の落ちる音が響く肌寒い部屋。
起き上がろうとすれば何か違和感が。
その違和感は腕の自由がきかないことだった。

「ごめんね、痛い思いはさせたくないから、死にたくなかったら大人しくしてね」

聞き慣れた声が聞こえ、そちらに顔を向けると。

「どう…して」

そこにいたのは、私が小さい頃から世話をしてくれたお付きの男性。

「正直焦ったよ、三人も雇われたときは…でも、昔からそばについてて良かった」

ニッコリと笑うその顔は恐怖でしかなくて。
無意識に身体を震わせた。
片手には銃が握られている。

「警戒もなく君に近づけるしね」

「じゃあ…今まで…」

「そ、ごめんね」

俺、君の家の金にしか眼中になくてね。
そう言う彼は狂気の言葉以外見つからなかった。

でも、そんなときだった。
扉の向こうから銃声が響き出し、怒声や叫び声などが聞こえてくる。
それに男は舌打ちをし、いきなり私の腕を強く引っ張った。

「痛っ…!」

そのまま連れて行かれどんどんと銃声が聞こえた方へ近づく。
抵抗しても全然意味がなくて、私は恐怖に目を閉じた。
しんとしたところで、恐る恐る目を開ける。
いつの間にか外に出ていて、目の前には見慣れた三人が並んでいた。

「おい!!」

男の声が耳に響く。
その瞬間、首を絞めるように固定し、こめかみには冷たいものが当てられた。
火薬のような匂い…銃を突きつけられたのだ。

「やっぱり主犯はお前か」

兄者さんが静かにそう口にした。
驚いた様子のない三人に、この人たちは悟っていたのだということを知る。

「コイツを殺されたくないなら、金と車を寄越せ」

男はそう言って、更に銃口を強く押し当てた。
私は耐えられず、ポロポロと落ちてくる涙、時々小さく喘ぐ声も気にせず震える唇を噛み締めた。

(続)

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作者名:sky | 作成日時:2018年5月17日 23時

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