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距離と違和感:青 ページ6

周りから聞いたら嫌味かと思われるだろうけど、私は財閥の令嬢だ。
だから悪い人に目をつけられるなんてしょっちゅう。
そんなとき、危ないからと父がボディガードを雇ったと言っていた。

「ボディガード?」

「うん…近いうちに来るらしくて」

幼い頃から私に仕えてくれる男性とそんな話をしていた。
彼は微笑むとこれで安心だね、なんて頭を撫でた。

そしてそのボディガードと初の対面をしたとき、3色の色が並んでいた。

「今日から雇われたおついちです、よろしくね」

「同じくで弟者です、よろしく」

「…兄者だ」

愛想よく挨拶するおついちさんと弟者さん。
でも、一人だけ顔を逸らし話す兄者さんは、どこか不機嫌そうで。
…まぁ、こんなお守りを任されるなんて嫌だよね。
自分で納得していたことに苦笑しながら、私も名を名乗った。

その日からずっと傍に誰かがついていた。
おついちさんだったり弟者さんだったり、たまに兄者さんが来てくれたり。
二人とはすごく話せるようになったけれど、どこか兄者さんとの距離はぎこちなくて。

「兄者…あぁ、あの人目つきのせいで色々誤解生みやすいからなぁ」

思う節があるのか苦笑しながら言う弟者さん。
どうやら生まれながらにその目つきは鋭いようで、他人を無意識に怯えさせてしまうようだ。

「僕も始めはめっちゃ嫌われてるのかと思ったもん」

なんて、思い出すかのようにケタケタ笑うおついちさん。
…目つき、なのかなぁ。
少し残る違和感がありながらも、今日も傍に兄者さんがついていた。

「…兄者さん」

「…何だ」

その様子に、何だか私は笑みがこぼれて、座る窓から見える空に顔を向けた。
自分から声をかけたのに、兄者さんは何も言わない。
顔を見ていないから、どんな表情をしていないからわからないけど。
ただ、普通に…一言だけ。

「今日は天気がいいですね」

兄者さんの色ですね。

「…あぁ」

返事がくると思っていなかったから、思わず彼の顔を見た。
その時、私は目を見開いた。
…こんなに優しく微笑む兄者さんを初めて見たから。

このぎこちない…いや、もどかしい気持ちは何だろう。

(続)

距離と違和感:青→←心の天気:赤



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設定タグ:2bro , 兄者弟者 , おついち
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作者名:sky | 作成日時:2018年5月17日 23時

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