【鬼滅の刃】偶然、または必然か・参【ハンターハンター】

119話　生きる ページ40

「ふぅん、そこに倒れてる奴よりは強いね

　 ま、まだまだだけど｣

『ハッ、そりゃどうも！』



次々と跳んでくる無数の糸を刀で切っていくも、きりのない作業に嫌気がさす

まったく、面倒くさい能力を持った鬼もいたものだな

さっと糸の間をくぐり抜け刀を鬼の子の首に伸ばす


"水の呼吸 壱の型 水面切り"


が、切れたのは私の横腹だった



『ｯ...フ、ゲホｯ』

「遅い、遅いよ？それで僕の首を切れると思ったの？愚かだね｣



どうしよう、怪我をしてしまった

すぐさま体制を整えてまた糸を切ろうと刀を降り下ろす

先程よりも太いように見えるその糸は、私の刀を弾き返した



『！？』

「驚いた？ふふ、僕の糸はすごく固いんだよ

　 例えば僕たち家族の絆みたいに、固く頑丈な糸なんだ｣



驚いて目を見開けば鬼の子は幸せそうに微笑んで話を始める

でも、その子の話には可笑しなところがあった

だって



『家族の絆があるなら、何故貴方はそんなに寂しそうな目をしているの？』

「...は？｣



その子の瞳は、悲しそうなような寂しそうなような

可哀想に思えてくるほど切ない光を放っている


この子も、きっと辛いことがあったんだ

何故鬼になったのかはわからないけど、この子はずっと泣いている


可哀想に、そう思った瞬間顔の横を糸が横切る

その糸は真っ直ぐと横たわっている隊士の方へと伸びていた



「へぇ、それも庇うんだ...君、本当に変わってるね｣

『鬼にまで言われるなんて、私、そんなに変かなぁｯ！？』



痛い、痛い、痛い、痛い

隊士を庇って切れた左腕がズキズキと痛む

血管が切れたのか血も大量に流れて、目眩もした


でも、今ここで諦めたらダメだ

倒れている隊士も体を張ってこの鬼の子と戦っていたんだ


それに、炭治郎たちにすぐ戻ると言ってしまった

今更帰れないなんて伝えることは出来ない


義勇さんにも鬼殺隊に入ってからまだ一度も会えてないんだ

伝えたいこと、話したいことがいっぱいあるのに


死ねない、生きなきゃいけない



「まだ動けるの？その出血で｣

『はは、生憎だけどタフなんだよ...それに、毒にも慣れてるしね』

「....わかってたんだ｣



そう、きっと目眩の原因は毒

何の毒かはわからないが効力は高そうだ


お願いだから、私の能力で解毒できますように

"自らの命(マインリアリティ)"を発動しているので、傷は少し治ってきている


そのとき、一際早くて太い糸が私に向かって飛んでくるのが見えた

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