281話 愈史郎 ページ8
「.....んじゃァ、コイツのこたぁ頼んだぞォ」
そう言って、風柱は私を村田さんの腕に移動させる
肩の傷に触れると少し痛いが、血も止まったし火傷はだんだんと引いてきたみたいだ
........さすがに、失った腕は戻らないみたいだけど
時間をかければ、目や耳ぐらいなら機能するようになるかもしれない
「流星....!聞こえるか?今、治療ができるやつに見てもらえるから、辛抱しろよ」
『村田さん.....は、い....ありがとう、ございます』
体もかなり動かせるようになったし、声も出せる
敵の本拠地で、畳に寝転び手当てをされると言うのは、なんだか変な気分だった
手当てをしてくれるのは、愈史郎という隊士だそうだが......
......変だな、そんな名前の隊士聞いたことがない
柱になって隊士の顔と名前はほとんど抜け目なく覚えたつもりだが、まだ知らない人がいたのか
そう思って、私は人の動く気配のする方を見る
「.....なるほど。全身火傷に、左腕は飛ばされたか。左目と左耳も機能していない....
よく生きていたな、奇跡としか言いようがない。が、あと少し応急措置が遅れたら死んでいた」
「バカ野郎お前.....!気の滅入ることばっか言うな!!励ませバカ!」
『あ、いえ....大丈夫ですよ、私は.....』
じっ_____
右目だけ微かに開けて、愈史郎と呼ばれた彼を見る
....瞳は、完璧に人のもの
だけど
いくら化けるのになれていても、気配を誤魔化すことは難しいものだ
『.....愈史郎さん、耳を.....』
ポソリとそう呟いた私の声を聞き、素直に耳を口に近づけてくれる愈史郎さん
この愈史郎と呼ばれる隊士は、確かに鬼だ
が、ここまでの反応を見る限り悪い鬼ではないし、人を喰っている鬼の気配ではない
だから、私はあえて聞く
『.....貴方は、いったい.....何者、なんですか....?』
周りには聞こえぬよう小声で囁いた私に、愈史郎さんは一瞬だけ顔をしかめたのだった
鬼と協力しているなんて話、聞かなかったけれど......
しのぶさんの薬の開発の協力者というのが、この人のことなのだろうか?
禰豆子ちゃんが鬼殺隊に止まることを認めてくれた御館様だ
彼なら、鬼と協力して薬を作ることも承認するだろう
「.....鬼殺隊協力者だ。それ以外は何も考えるな、怪我を呼吸で治すことだけ考えろ」
終わったぞ、と包帯を切る愈史郎さん
見ると、いつの間にか私は、包帯でぐるぐる巻きになっていた
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セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか!本当ですか!?(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....!じゃんじゃん(?)救済して行きますよー! (2020年6月22日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった!!玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね?救済してください!お願いします! (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますー! (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてますよ! (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2020年5月17日 20時