400話 愛する人よ(無一郎side) ページ37
.......それでも、ダメなの？幸せだったとしても
僕はそんなすがるような視線を兄さんに向けるけれど、兄さんの表情に変わりはない
＿＿＿＿確かに僕たち兄弟は、長く生きた方じゃないんだろう
むしろ、短い人生だった
まあ、いわゆる早死にをしたんだと思う
.....だけど
それでも僕は、仲間のために命をかけたことを後悔なんてしていなかった
「.....無駄死になんて言わないで。他の誰かになら、なんて言われても良いんだ。
でも、兄さんだけはそんな風に言わないで。僕は、兄さんと双子に生まれて幸せだったよ....」
「ごめん......」
次の瞬間には、僕は、兄さんに優しく抱き締められていた
なんでそんなに謝るの、どうしてそんなに悲しそうな顔をしてるの
僕は、幸せだったんだからそれで良いんだよ
そっと兄さんの体に腕を巻き付ければ、前よりも強く体を抱き締められる
「わかってるよ、お前が幸せだったことぐらい俺も。でも俺は、俺はな無一郎。
お前に、死なないでほしかったんだ。........ごめんな無一郎、俺はこんな不甲斐無しで」
「え、兄さん....？」
唐突にグッと力のこもった兄さんの手に、僕はびっくりして目を見開く
そしてその時、僕の耳には確かに聞こえてきた
＿＿＿＿＿＿無一郎君、起きて。お願い、ごめん、死なないでよ無一郎君。
それは、泣きながら必死に僕の名前を呼んでいる、Aの声だった
Aたちのことを、心配しなかったわけじゃない
だけど、僕はもう疲れていて、そんなことをゆっくり考える暇もなかった
「A......」
「......ほら、お前の仲間が呼んでるぞ。アイツや仲間が大切なんだろ？
守り抜け。それが無理なら、絶対に愛する人を残して死ぬな。良いか、最後の約束だぞ」
そう言って、兄さんは僕の目を見つめる
......相変わらずその顔は、少しキツめの表情ではあったけれど
だけど、優しかった
兄さんの僕に対する顔や態度には、昔の僕が気が付けなかった優しさと愛が隠れていた
「＿＿＿＿＿＿うん、ありがとう兄さん。僕、もう少しだけ頑張ってくるよ」
最後の兄さんの顔は、丁度落ちてきたイチョウの葉に隠れて見えなかったけど
きっと、笑っていたんだと思う
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿
＿＿
「.....ただいまA.....ごめん、遅くなった」
『っ、本当だよ....！もう、お帰り無一郎君.....戻って来てくれて、本当に良かった』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
あなただけに囚われて�� HUNTER×HUNTER
フェイタン姉、盗賊から不良にジョブチェンジしました２【東リべ】【H×H】
好感度が見える念能力とかいらねぇんだが！？ II【H×H】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか！本当ですか！？(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....！じゃんじゃん(？)救済して行きますよー！ (2020年6月22日 22時) (
レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった！！玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね？救済してください！お願いします！ (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです！更新頑張りますー！ (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！とっても面白いです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてますよ！ (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セブンス・エイカン | 作成日時：2020年5月17日 20時
