401話 無惨 ページ38
はぁ、ふぅ、はぁ____
背中に負った無一郎君から聞こえてくるこの荒い息づかいは、果たして傷の痛みからなのか
「ごめんね」と後ろの無一郎君に謝って、私は建物の中を走り続けていた
どこだ、救護班は一体どこにいる
....比較的傷の少ない不死川さんと悲鳴嶼さんは、もう無惨のところへ行ってしまった
私も、無一郎君を救護班に頼んでから戦場に行かねばならない
___せめて、不死川さんだけでも
せめて、悲鳴嶼さんたちだけでも助けなきゃ
『......ごめん、皆。ごめん、玄弥君.....』
「A......泣いちゃ、ダメだよ.....」
ポツリポツリと泣きながら呟く私を、無一郎君はそっと優しく慰めてくれる
....私より2つも年下なのに、無一郎君はとてもしっかりしてる
それに比べて、私は何をしているんだろう
___「A。ほら、救護班はあっちだ。先に逝っちまって悪ぃ。....兄貴を、頼んだぞ」
___「お姉ちゃん、ありがとう!玄弥兄ちゃんに会えたよ!」
___「実弥兄ちゃん守ってくれてありがと、お姉ちゃん」
守りたかったんだ、自分の大切な人を
だけど現実はいつだって非情で冷たいものだし、思うように行くことなどほとんどない
守れない、庇えない、助けられない
......そんな思いを、私はここに来るまでに数え切れないほどしてきたけれど
それは、存在の呼吸の始祖である
『.....ゆ、愈史郎さん!まっ、待ってください!無一郎君に、手当てをお願いします』
「流星A....お前、目が.....いや、わかった。こちらに引き渡せ、責任を持って保護しよう」
片腕でなんとか背負っていた私から、こちらに気づいた愈史郎さんが丁寧に無一郎君の体を受けとる
良かった、これでもう無一郎君は大丈夫だろう
愈史郎さんもいるし、村田さんや他の隊士の皆もいる
道中で鴉に聞いた情報では、上弦の鬼は上弦の壱を最後に全滅したと聞いた
.....ならば、あとは鬼舞辻無惨を倒せばいい
『すみません、ありがとうございます愈史郎さん。それでは____』
「待って、A..........ごめん。あの.....死なないでね。僕、待ってるよ」
弱々しげな笑顔で笑う無一郎君に、私も不自然だと自覚済みの笑顔を返す
大丈夫、私ならできる
1度だけ深い深い深呼吸をして、私は鬼舞辻無惨の元へと走り出した
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セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか!本当ですか!?(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....!じゃんじゃん(?)救済して行きますよー! (2020年6月22日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった!!玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね?救済してください!お願いします! (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますー! (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてますよ! (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2020年5月17日 20時