299話 生の概念 ページ26
「____大丈夫、大丈夫だA少女。
君の努力も気持ちも、全てわかっている。君は、いつも本当によく頑張ってる」
まるで幼い子供をあやすような口調で背中を擦ってくれる煉獄様に
私は、そんな彼の肩に顔を押し付けて嗚咽を漏らす
______ごめんなさい
ごめんなさい、貴方を守れなくてごめんなさい
我が儘を言ってごめんなさい、弱くて、何も成すことのできない愚図でごめんなさい
貴方に見込んでもらったに関わらず、その期待に応えられなくてごめんなさい
ごめんなさい
最後まで心配をかけて、ごめんなさい
『.......ごめ、なさ......ッ、私......!』
「いや、大丈夫だ。気にしないで良い。思う存分泣いて、弱音を吐いても構わないぞ」
優しく優しくそう言葉をかけてくれる煉獄様が、私にはまるで本当に生き返ったように見えて
それが、何よりも一番辛いだなんて
.........本人には、そんなことを言えるはずがない
____私を包む心地よく温かな体温は
最後に抱き締めた彼のような、冷たいものではなかった
____私を見つめるその視線は
最後に見せたときのような、悲しさを誘うものではなかった
『煉獄様は.........貴方は、本当に。あの日、死んでしまったのですか?』
私がポツリとそう呟いた時、煉獄様は、初めてそんな困ったような表情をする
いつの間にか、煉獄様の後ろには綺麗な黒髪の女性が立っていて
その手は、煉獄様の背中に添えてあって
.........嗚呼、この人が、煉獄様のお母上だ
私に似ているといえば、確かに、連想させる程度はあるかもしれない
「........A少女。良いか、よく聞くんだぞ。
死者は、本来生者の前に現れることはできない。今回が特別なだけで、普通はこんなことはない。
しかし俺は、まだ生きている。それが何故だかわかるか、A少女?
それは、俺を覚えている人がいるからだ。君が俺を忘れずにいる間は、俺は生き続けるという事だな!」
生前と変わらぬ元気な笑顔で、煉獄様は私に笑いかける
「......Aさん。杏寿郎と仲良くしてくれてありがとう、話はいつも聞いていますよ
私たちは貴方をいつも見守っていますから、どうか、最後まで頑張ってくださいね。
さあ、お行きなさい。お姉様と兄弟子さんがお待ちです」
お母上も、凛とした笑顔で私にそう微笑んでくれた
____________そうして私は、また、落ちる
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セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか!本当ですか!?(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....!じゃんじゃん(?)救済して行きますよー! (2020年6月22日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった!!玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね?救済してください!お願いします! (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますー! (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてますよ! (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2020年5月17日 20時