Orange ball 3【青峰大輝】

８０話 ページ21

ガッと肩を引っ張られた









　






『か、がみ……？』









息を切らしながらそこに立っていたのは火神

















火神「お前っ、大丈夫かよ！？」




『大丈夫って…てか何でここに？』




火神「ここらへんで合宿してんだよ」


　

『あ、そうなんだ…』




火神「それよりお前…」









　









ﾎﾟﾀｯ









　








火神「！？」





『あれ、やだ…なんで』









　









気付いたら涙が流れていた









　









『ちょ、ごめん…すぐ止めるから…』









ごしごし手で拭って涙を止める









　









　









ｷﾞｭｯ









　









火神「べ、つに無理して止める必要…ないんじゃねぇの？」









　









火神が私を抱きしめる









その温かさに落ち着きを取り戻す









　









『って、離してよ！』









冷静になってこの状況を把握すると


なんだかすごく恥ずかしくなった









火神「あ、わり…」



『汗臭い！！』



火神「なっ！？！？！？」



『あはは、冗談だよ』









　









いつもみたいにおどけて笑う









　







『それよりもどうして追いかけてきたの？』




火神「ああ、走ってたらAがオレらのこと抜かしってって
声かけてもガン無視だし、あと、なんか変だってアイツが…」




『あいつ？』









　






クイっと顎で後ろの方を指す火神




その方向に目を見やると一人小さな影が




こちらに向かって走っているのが分かった









　









『黒子くん…』









黒子「はあ…はあ…やっと追いつきました…」







火神「お前おっせーな」






黒子「僕は普通です。Aさんと火神くんが早すぎるんです」









　







こんなにも息を切らして…


よほど私がやばかったんだろうか









火神「オレが言うのもあれだけどよ…その…
あんまり無茶しすぎると体壊すぞ」



黒子「そうですね。火神くんが言っても説得力がありませんね」



火神「うるっせぇ！わかってんだよ！」



『そう…だね。少し根詰めすぎたかも』



火神「なんかあったんか？」



『ううん。何にもないよ』



火神「…そうか」



『あ、私そろそろ戻らないとやばそうだからここで切り返すね』



黒子「暗くなっているので気を付けてください」



『うん、ありがとう』

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