第206話 ページ3
「……九条家失踪事件?」
土「あぁ、お前も聞いたことあるだろ?」
その土方さんの言葉に私は眉を顰めた。
確かにその事件のことは知っている。
真選組の資料庫にもしっかり記録が残っている。
「…でもそれを何故今更?
その事件、10年も前の事件ですよ?
それに…
私がそう言うと、土方さんは煙草の煙を吐きながら、私を見た。
土「その事件の主犯格、たしかに捕まった、よな。」
「……っ、え、えぇ。たしかに。」
私はそう少しぎこちなく頷くと、土方さんはもっていた資料を私に見せた。
土「処刑された、そう報告されていたが……実際のところ、死んでないそうだ。
なんなら、脱獄されたとか。」
「……え、?それどういう……」
困惑して、私はその資料をまじまじと見つめた。
土「詳しいことは俺にはわかんねぇが、大方こいつを取り逃がしたやつが揉み消した、ってとこか。
……とにかく、こいつは重罪人だ。
とっ捕まえるように上からの達しだ。」
「……そうですか。」
私はぐっと拳を握り、視線を下げた。
土「…このことについて会議がある、お前もちゃんと参加しろよ。」
「……了解です」
再び廊下を歩いて、ため息をこぼした。
「……どういうことですか、
そんな声は誰にも届くことなく静かに消えていった。
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作者名:Rukapyon | 作成日時:2023年11月10日 18時