七話 相談 ページ8
うらたside
愚痴しか言わない坂田を何とか宥めて、家に押し込めて来て、家に帰って。
それから風呂に入って、時間を見るともう2時。
こたぬきにおやすみメッセージを送ろうとしたその時。
ててて ててて ててててててん
『A』
間にブザーの音も入って、なんだか軽いオーケストラ状態。
外から車の走る音は聞こえるわ、セミはなくは、手は震えるは。
「は、え、Aちゃん？ から電話？」
こんな夜中にどうしたんだろう。なんて思いながら電話に出る。
「あ、うらたん？」
「うん。で、どうしたの？」
「ちょっと相談事があって……聞いてくれる？」
明日は別に仕事もなくて、オフの日。
寝なきゃいけないわけじゃないから、別に徹夜でも構わなかった。
「いいよ、気の済むまで話して？」
おやすみメッセージを入れて、相談をとる体勢になる。
「センラが私を家まで送ってくれたでしょ？ その後に、私が好きなパスタを作ってくれたんだけど」
は？
え、何その話、予想もしなかった。
なんにも考えないで家に入れてるっぽいのから考えて、坂田と立てた仮説は本当らしいと考える。
てかセンラ、株上げうますぎない？
さりげなく点数上げるよな、ほんとそういうとこキライ。
「それで、お礼をしたいんだ。なにかあげようと思ったんだけど、センラが好きなブランドとか知ってる？」
どこかに一緒に行きたいんだけどどこに行ったらいいかな？ とか、センラが好きなお店わかる？ とか、そんなこと聞かれると思ってたから、頭が真っ白になった。
どこか一緒に行きたいなら、下見させてついて行った。
好きなお店なら、カップルが行くような店を、ハイセンスなのを指定して、何食べたらいいか分からない的なのになったらついて行く。
そういう返しを用意してたから、ブランドを聞かれた時どうしたらいいか分からなかった。
てかブランドの名前聞かれた時ついていく方法なくない？
そう思って、諦めて答えた時のことだった。
「それでセンラが選んだやつも買いたいんだけど、食べ物とかよくわかんなくて……センラ、好きなお店ある？」
俺がついていける質問キタコレ。って思った。
オシャレなお店を指定して、俺もついていく段取りは成功。
センラが好きなブランドの店も行くことになったから、そこでネックレスでもあげよう。その時つけてって。
もちろん、緑色のやつをね。
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作者名：希音 | 作成日時：2019年1月18日 19時
