十一話 いつも通りじゃダメなのに ページ12
Aside
「今日はねー、センラに楽しんで貰うためにここに来ました！」
笑いかけてそう言うと、センラも笑顔でいてくれる。
前にもこんなんしてみたことあったっけ？
そうそう、あん時は俺がいつもの感じ抜けなんで……。
2人でそんなくだらない話をして歩く……自然な風に。
なんで、そんなにイライラしてるの？
なんで、そんなに不安そうなの？
なんで、そんなに気持ちをおしかくすの？
私って、そんなに頼りない？ 少しくらい、頼ってくれてもいいじゃんか……。
楽しそうに笑っているのとは裏腹に、私もセンラも、なにか抱えているように思えてならない。
「まずはねー、ここ！」
うらたんに、連れて行ってもろうだご飯屋はん。
注文はもう決まってる、トマトのパスタ。
「Aは何頼むん？」
「トマトのパスタ！」
「ほんま、パスタ好きやなあ。ほな、俺はドリアにしよかな」
「……ドリアなんてあってん……？」
「え、気づいてへんかったん？ Aチーズ好きやさかい、気づいてる思た。」
「どうしよう、ドリアも魅力的だ……」
頭を抱えて悩み始めると、センラが笑っていつも通りのことを言った。
「1番食べたい方頼みな、俺2番の方頼んで一口やるさかい」
浦島メンバーは、誰でもこんなこと言いそうだよね。
まーしぃとセンラは確定でしょ、うらたんも1口いる？ って聞いてくれたし、さかたんは……あ、あの人馬鹿だ、どうだろ。
「何笑っとるん？ どっちがいい？」
「じゃあ、私パスタにする！」
「了解、注文とるからな、眠いなら寝とけ」
うわ、ばれてた？
久々だったから、楽しみでなかなか寝れなかったんだよね……センラは普通そうだけど。
「眠かはない。ギリギリまで寝てたからね！」
「いや過ぎてるから。遅刻してるから」
それもバレてたか……。
「そう言えばそのネックレス、うらさんから貰ったん？」
「なんでそんなにわかるの！？」
「石の色とか、石言葉とかその他で。」
やっぱセンラお父さんだ。物知り。
「俺もなんかプレゼントするから。何がいい？」
まってまって、違うこれじゃいつもと一緒。
「今日は私がセンラを楽しませるの！」
1口貰うとか、1番食べたい方とれとか、いつも通りだったから忘れてた。
「なら、いつもみたくAも楽しんで？
それが、俺の楽しさやから」
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作者名：希音 | 作成日時：2019年1月18日 19時
