1:2年 ページ2
「もう、君達が来てから2年になりますか…」
感慨深く言う松陽はどこが寂しげでもあった。
今日秋穂がこの塾を卒業と言えばいいのだろうか。したからだ。
「秋穂殿がまさか結婚するとはな…」
2年経つあいだに色々あったが生徒の中で結婚する者が出るとは思ってもいなかった。
「まぁアイツは俺たちが来た時にはもう既に12とかだったからな。おかしくはねぇよ」
確かにそうなのだが色々と世話を焼いてもらったAからすると寂しかったりもするのだ。
「まだ時間はかかるかもしれませんがきっとここから色んな子達が旅立っていくのでしょうね」
やはり寂しげな顔でそう言った松陽に銀時が被せるようにして言う。
「俺たちは居なくならねぇよ」
「そうですよ先生。出て行けと言われても出ていきませんから」
「俺たちはアンタのあとを継ぐんだからな」
そしてAと高杉も重ねるように言えば驚いたように目を見開いてから松陽はいつもの穏やかな笑みを浮かべる。
「それは…頼もしいですね」
いつも笑顔の松陽が笑顔でないのはとても不安にさせる。その笑顔を見て安堵した3人であったがAはまだ一つ心配事があった。
ー
ーー
「A。あなたはとっても強いし頼もしいわ」
秋穂が塾を辞める日。
2人で話がしたいと呼び出された。
いきなり切り出された話にAは眉根を潜める。
「でもねあなたも女の子なのよ」
困ったように下げられた眉。
その顔はAのことをあんじていてくれていることを物語っている。
「あなたも気づいているはずよ。今までは彼らと同じにできていたことが段々と差が生まれ始めていることに」
ここ2年でAも銀時も高杉も随分と成長した。それは心も腕もそして一番触れられたくない体のことについてもだ。
「あなたが望んでいなくてもあなたは着々と綺麗な女の人に育っている。だから」
「やめてくれ…」
そこまで黙って聞いてようやく消え入りそうなものだが声が出た。
「その先は…まだ聞きたくない」
「A…」
自分でも実感していた。だからこそ見ないふりを今までしてきた。
それを認めたら…認めたなら
「私がアイツらの隣にいることが出来なくなるだろう?」
泣き笑いのような表情を見せるAに秋穂は後悔した。
自分が言わなくとも賢いこの子には十分すぎるほど分かっていたのだ。
「ごめん、ごめんねA」
158人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
歴史クイズ - 更新、頑張って下さい!続き楽しみに待ってます(*^^*) (2022年8月8日 16時) (レス) @page3 id: ce3cc772d9 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続きが気になります!更新再開する予定はありますか?楽しみに待ってます! (2021年9月23日 15時) (レス) id: a2b06cd108 (このIDを非表示/違反報告)
こんにちは - とても面白かったです!更新頑張ってください! (2019年8月23日 23時) (レス) id: 093ab541d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ