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7:不器用なのはお互い様 ページ8

「高杉は大丈夫だろうか…」

あの後仕方がなく家に帰ったが高杉がどうなったのかAは気が気でなかった。

「かなり怪我をしていたしアイツのお父上の事だ。今日のことがもし知れていたら」

もしかしたら今頃一人で寂しい思いをしているのではないか。

「…空腹で倒れていたら困るしな」

言い聞かせるように呟くとAは手早くおにぎりを握った。

「狐殿。アイツは何処にいるのだろうか」

握ったは良いがどこに行ったら良いかAは悩む。家にいるのかそれともそこら辺をほっつき歩いているのか。

肩に乗っていた狐は地面に降り立つとコッチだとでも言うようにAのことを一瞬振り返ると歩いていった。

.

.

.

狐について行くといつもの神社の下に着いた。
階段を見上げていると狐はAの首に巻きついて尻尾で頬を撫でた。

「ここに、居るのか」

登りきるとやはりそこには高杉の姿があった。

やっぱりこの狐はこの神社の守り神なのでは、とAは思う。

さて、不貞腐れたようなこの友人をどうやって慰めようか。

「やれやれお婆め。私はおにぎりの具は梅以外食わんと言ったのにツナマヨはないだろう。仕方ない、神社にでも備えておくか」

「A。お前の婆さん随分前に死んでなかったか」

素直じゃない相手に自分でも素直じゃないおにぎりの渡し方をしてしまったと思う。

仕方がない。分からなかったのだ。

思いの外体の方は大丈夫なので立ち去ろうと思い、それからAは思い出して高杉に背を向けたまま口を開いた。

「高杉。見つかったか、何か」

「何も」

しかし返ってきたのは予想とは違った答え。
高杉の方を少し振り返る。

「ただ俺が弱いことは分かった。俺より強いやつが山ほどいることは分かった。…ならせめてアイツらより強い侍になりてぇ」

やはり素直じゃないらしい。

「そうか。やっぱり私もおにぎり食べようかな」

口元を緩めると帰ろうとしていた足を高杉の方に向ける。

「梅しか食わねぇんじゃねぇのかよ」

「少しばかり食べてみたい気もしてな」

「ワガママかよ」

「高杉には言われたくないな」

私も"何か"が見つかった気がする。

8:謎の儀式の裏側→←6:道場破り



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茉莉(プロフ) - 宇治さん» めちゃくちゃ返信遅くてすみません!宇治さん、ありがとうございます!! (2019年5月5日 22時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - こんばんは、宇治です。女の子要素無しの夢主、良いじゃないですか…!!好きです。とても。更新頑張ってくださいね!応援してます! (2019年4月15日 0時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - 赤蛮奇さん» ですよね!幼少期はみんな可愛いですけど高杉の可愛さは異常…!ありがとうございます (2019年4月4日 12時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
赤蛮奇 - 幼少期高杉ヤバイですよね!アレはもう犯罪級ですよね!更新頑張ってください楽しみにしてます! (2019年4月3日 2時) (レス) id: 2a668a49bb (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - (о´∀`о)さん» ありがとうございます! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉莉 | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2019年3月24日 9時

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