10:決して怪しい者では…と言う奴ほど怪しい者だったりする ページ11
静かな夜に木のしなる音がする。
その木に高杉は吊るされていた。
｢いい眺めだな。バカが空を飛んでいる｣
吊るされたままブラブラと動く高杉を下から見上げるとAはそう言った。
しばらく講武館にも松下村塾にも神社にも姿を現さないと思い来てみればこのザマだ。
｢あぁ、いい眺めだ。バカが見下ろせる｣
それに負けじと高杉もそう返す。
｢これからどうするつもりだ｣
Aは高杉家の周りを囲む塀に腕を組んで寄りかかるとそう高杉に問う。
｢どうするもこうもねぇ。次あそこに行ったら勘当だとよ｣
｢なるほど。お前の親父殿も噂に当てられたわけか｣
松下村塾。松陽や銀時のいるその塾は最近、近隣の子供を集め学制批判国家転覆。怪しげな教えを解いていると噂になっていた。
｢その通りじゃねぇか。アイツの言う侍ばかりが増えたら国は滅ぶぜ｣
｢かもな｣
そこで言葉を切るとAは松下村塾の塾生達と過ごした時を思い返す。
｢だが、気持ちのいい連中であったな。私は今まで侍とはあらゆるものに縛られ窮屈なものであると思ってきたが、もしなれるのならば私もあんな自由な侍になりたいものだ｣
吉田松陽。その者のように。
.
.
.
翌日。高杉は松下村塾に来ていた。
相変わらず塾では近隣の子供達が松陽の教えのもと、勉学に励んでいる。
｢噂通りだ｣
後ろから声がしたので高杉は視線を塾の方から後ろに向ける。
｢近頃塾で見かけんと思っていたがこんな怪しげな寺子屋にご執心とは高杉、いよいよお前も講武館破門だな｣
そんなものは受けてたってやる。高杉は思っていた。
｢だが、残念。今晩にもこの寺子屋は潰れる｣
しかし次に告げられた言葉に目を見張る。
｢父上にこの塾のあらぬ噂を吹き込んでおいた。役人が動く。あの男はいい所ここを追われるかしょっぴかれることになろう。得体の知れぬ浪人が寺子屋などしよって。身分をわきまえず我ら武士を愚弄するからこうなる｣
あの神社での一件のことをまだ引きづっていたのか。アイツが、松陽がここを去ったらここにいる奴らはどうなるんだ。銀時は…
そんな思いが頭を掠めた。
｢高杉、お前はもう侍になんてなれんよ｣
そしてその様子を相も変わらず高杉を心配して後をつけていたAは見ていた。
そして高杉と同じくまずいな、という思いを抱いていた。
しかしここまでくるとAって立派な高杉のストーカーじゃ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉莉(プロフ) - 宇治さん» めちゃくちゃ返信遅くてすみません！宇治さん、ありがとうございます！！ (2019年5月5日 22時) (
レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - こんばんは、宇治です。女の子要素無しの夢主、良いじゃないですか…！！好きです。とても。更新頑張ってくださいね！応援してます！ (2019年4月15日 0時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - 赤蛮奇さん» ですよね！幼少期はみんな可愛いですけど高杉の可愛さは異常…！ありがとうございます (2019年4月4日 12時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
赤蛮奇 - 幼少期高杉ヤバイですよね！アレはもう犯罪級ですよね！更新頑張ってください楽しみにしてます！ (2019年4月3日 2時) (レス) id: 2a668a49bb (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - (о´∀`о)さん» ありがとうございます！ (2019年3月24日 19時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
