13:野宿でも…っていうのは勘弁して欲しい ページ14
「それより、どうしましょう」
三人が地面から立ち上がるとようやくか、と言うように松陽が口を開く。
「どうするって何が」
「忘れましたか?銀時。もう道場も学び舎も無くなっちゃったんですよ」
「あ」
家を持たない松陽と銀時は松下村塾で寝食もしていた。なのに松下村塾が無くなってしまったとすれば…
「俺ら寝るとこねぇの?!」
「久しぶりに野宿ですかねぇ」
「マジかよ…」
最悪だ、という顔をする銀時と対照的に松陽はいつもの笑顔を浮かべている。
「俺も家帰れねぇんだった」
そしてそれに被せるように高杉も呟いた。
「…三人とも」
絶望の色が濃い銀時と高杉を見兼ねてAは口を開いた。
「うちに来るか?」
.
.
.
「すげぇ〜お前一人でここ住んでんの?」
家が無くなった者と家に帰れなかった者を引き連れてAは帰路につく。
家に着いてみれば茅葺き屋根の家に何故か銀時は興奮気味だ。
「大した家でもないだろう。高杉の家に比べてしまえばな」
「確かに俺の家のがでけぇな」
「高杉、そこら辺は少し遠慮をしろ」
高杉家屋敷と比べてしまえばここら辺の住宅一体の全部が負けてしまう。
冗談のつもりで言えば真面目に返してくる高杉にAは頬を膨らませた。
「居間の他に部屋が二つしかないから先生と銀時が一緒で私と高杉が一緒の部屋でいいか」
客用の布団を取ってくると松陽と共に倉庫の方に向かうAの背を見送ると銀時は口を開く。
「高杉」
「なんだ?」
「アイツ俺らと同じくらいの歳だろ?すげぇしっかりしてるんだな」
最初こそ何なんだコイツ、という印象を持った銀時であったがここに着いてから素早く色々と対応してくれるAを見てその働きように驚いていた。
「アイツは早くに天涯孤独になっちまって全部一人でやってたからな。家事全般一人で出来ちまうんだよ」
それは尊敬すべき点であるし、しかし悲しいものでもある。そうしなければならなかった。
生き残るために強くならなければならなかった銀時と全てを一人でしなくてはならなかったA。
「俺にはわかんないこと、だな」
初めてAに自分が恵まれているのだと言われたことが高杉は納得することが出来た気がした。
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茉莉(プロフ) - 宇治さん» めちゃくちゃ返信遅くてすみません!宇治さん、ありがとうございます!! (2019年5月5日 22時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - こんばんは、宇治です。女の子要素無しの夢主、良いじゃないですか…!!好きです。とても。更新頑張ってくださいね!応援してます! (2019年4月15日 0時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - 赤蛮奇さん» ですよね!幼少期はみんな可愛いですけど高杉の可愛さは異常…!ありがとうございます (2019年4月4日 12時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
赤蛮奇 - 幼少期高杉ヤバイですよね!アレはもう犯罪級ですよね!更新頑張ってください楽しみにしてます! (2019年4月3日 2時) (レス) id: 2a668a49bb (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - (о´∀`о)さん» ありがとうございます! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
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