銀魂キャラ × 〇〇 【短編】

高杉晋助 × 男性恐怖症 ページ30

高『…俺が怖いか？』


私は遊 郭へ身を売られた。


私の父は大のギャンブル好きで気づけば莫大な借金を抱えていた。

呆れた母は弟を連れて逃げた。

残された私はあっけなく父に売られて、現在は夜の吉原で働いている。


『何度言えばわかるんだい、どんな事があれど客にご奉仕するのが私らの決まりだよ。
今日も客すっぽかして、男が怖いんじゃ仕事もできやしない』



『ここにお前の居場所は無い』


まだ幼い私が知らなくてもよかった世界を知ってしまった。
トラウマから生まれた男性恐怖症。
それは今の私の仕事では間違いなく支障になる。

『次しくじったら出て行きな』

いっそクビにしてもらってその辺でし にたかった。


私に生きている意味なんて無い。





ある日、一人の男がやってきた。
その人は変わっていた。


高『お前を指名する』

「…かしこまりました」


周りの同僚達に蔑みの目を向けられる。

今度しくじったら…


部屋で入室してからすぐに男は煙管に火をつける。

そして窓を開けて、座る。
煙管からもくもくと煙が立ち、部屋がほんのり煙たい。

男はふと口を開いた。

高『お前さん、ここで抱かれた事無ェだろ』

「…」

高『妙な噂を聞いた。ここでは珍しい最後までヤらせてくれねェ女がいるって』

高『てっきり俺ァ、高飛車で勝ち気な女なのかと思ったが…』


ちらりとこちらを見て、ふっと煙管の火を消し、机に置くと、こちらに近づいて来る。

男の手が身体に触れればビクッと拒絶反応を起こす。

…怖い。


高『俺が怖いか？』

「…っ」

高『お前は俺と似ている』

すっと顎を持ち上げられ、目線を合わせようとする。

でもそれすらも耐えられなくてすぐに逸らす。

高『乱暴にはしねェよ、ただお前に興味がある』


男の雰囲気は刺々しいが、肩から腰へと撫でる手つきは柔らかく、ただ己の欲のままにつき動く男とは違うと感じた。

そして腰から帯に手をかける。

高『俺ァ、このままお前を抱く。嫌なら、後から店に俺が何とか言っといてやるから抵抗しろ。
でも、もしお前が俺に抱かれてもいいならちゃんと目を見て自分の言葉で言え』

体の震えは止まっていた。でも目を見れない、まだ身体が怖いと反応する。

高『目を見ろ、逃げんじゃねェ』


おそるおそる男の目を見ると、

欲望で染まった汚い色ではなく真っ直ぐで、吸い込まれそうなくらい綺麗だった。


高『…俺が怖いか？』

「…っいいえ」

そう言うと、男は薄く微笑み、帯を解いた。

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