【子世代】世界最強魔女の物語＊不死鳥の騎士団･上＊

49話 ページ49

その次の日のことだった

深く眠っていたAは慌ただしい物音がして目を覚ます

それから部屋にいたはずのシリウスがいないことに気づいて、首を傾げた

｢何かあった？｣

部屋を出てAが聞くと、シリウスは困惑した表情で振り返る

｢アーサーが重症だ
それで、ハリーとウィーズリー兄妹がこちらへ向かっている｣

｢…？ハリーも？｣

｢私にもよくわからないが、とにかくそうらしい
ダンブルドアが言っていた｣

2人して顔を顰めたところで、大きな音が響く

｢何があった？｣

Aはあの時以来の再開だが、今やそんなことを気にしている場合でもなくなった

シリウスが聞くと、フレッドがハリーの方を振り返る

｢俺達もよく知らない、ハリーに聞いて｣

全員の顔がハリーの方へ向いた

ハリーは躊躇いながらも話し始めた、あまりに現実味のある夢の内容を

｢それで蛇が、アーサーを襲ったのか？｣

最後に曖昧にハリーが頷くと、一瞬静まり返る

｢今から、病院に行ける？｣

ジニーの問いは、問いというより許可を求めているものだった

｢行けない、行かせられない
今の状況は異質すぎるわ｣

｢けど、俺たちの親父だ｣

今にも飛び出しかねない双子の前から、Aもシリウスも一切退かなかった

｢その、君たちの父親にとっても、今行くのは良くないことだと思うが｣

｢そんなの知ったことか、｣

｢辛い選択なのはわかってる｣

Aの声にはなんとも言えない威圧感が篭っていた

普段の教師としてのAにはないものだった

｢けど、今は良くない
悪い状況をより悪くしたくないのなら、大人しくして｣

｢せめて…君らの母さんから連絡が来るまでは｣

シリウスが言うと、若干反抗的ではありながらも、それでも全員が席についた

緊張感が漂いながら、続報を待つ

ウィーズリー家ではないAとシリウスとハリーは、それとはまた別の苦しみを抱えながらひたすらに待った

モリーがブラック家に来たのは明け方になってからだった

アーサーは無事で、今は安静に眠っている

ただそれだけの報告が、今は何よりありがたかった

だが、ようやく安心しきった空気の中で、ハリーだけが神妙な顔でAとシリウスに声をかける

｢今いい？｣

｢もちろん｣

3人だけになったところで、ハリーが付け加えたのは蛇が襲ったというより、ハリー自身が襲っていた蛇だった、という話だった

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