第1話 ページ2
Aside
『……っ、ここ、どこ…?』
20××年、私は霜隠中学校最後の夏を迎えていた。
千夏「あっっつい!!今年の夏はどうなってんのさ……!」
今年は猛暑。にも関わらず、何故か雪が降るという怪奇現象に日本は悩まされていた。
『あ、あはは、最近異常気象に悩まされてたし、仕方ないんじゃ』
千夏「いやいや、夏に雪が降ること自体おかしいでしょ…」
『まぁ、雪かも分かんないんだけどね……』
そう。日本の夏に降った雪は暖かかったり冷たかったり…まあ千夏の言う通り雪が夏に降ること自体おかしいのだが、とにかくおかしいのだ。
だから政府を始めとし、日本国民はこの雪を警戒していた。
『あ、雪だ』
私がそう呟くと、千夏は顔面蒼白で駆け出した。
「やっば…早く帰らなきゃ!!ばいばい!!!」
『え、ちょっと!!…もう……』
千夏は皆と同様雪を警戒していて、雪が降ってくると直ぐに走って帰る。
『冷たい雪…』
ちらほらと降ってきた冷たい雪に触れると、ある昔の冷たい記憶が脳内に広がった。
『っ…母、さん……』
それは五年前、母が死んだ時の記憶だった。泣き叫ぶ弟を抱きしめ慰める私。
母は、私の父にめった刺しにされ、出血多量で亡くなった。
その原因は、紛れもない私だった。
父は私を殺そうとし、母はそれを庇って代わりに死んだ。
『何で今更、思い出すんだろう……』
まさか、この雪のせい?
そんな考えが脳内をよぎり、振り切った。
そんな訳ないだろ。雪のせいにするな。
そう思い直し、そっと降り続く雪に触れた。
暖かい。
例えるなら人の体温のような、とても心地の良い暖かさだった。
今度は何も見えない。
ただ、暖かいだけ。
いつまでも触れていたくなるその暖かさに少し涙を流した。
悲しい。
なんだか悲しくて、涙が頬を伝っていく。
もう、ここにいたくない。
心が張り裂けそうだ。
もっと暖かい世界に、
『行きたい…っ』
〔望んだな?〕
どこからか声が聞こえてくる。
くつくつと笑いながら話している、そんな声が。
少し口を開き誰かと尋ねようとすると、雪が口の中に入り、くらくらと目眩がしてくる。
《また暖かい…》
けど、恐怖心もある。
ぐにゃぐにゃと歪む視界に、遠ざかっていく意識。
《このまま意識を失えば、どうなるんだろう》
そう思い目を閉じると、そこで意識が途絶えた。
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- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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十眠蜂九(プロフ) - こんにちは( ´∀`)σ)∀`) (2017年12月19日 22時) (レス) id: 4998cd34df (このIDを非表示/違反報告)
ちさてぃ - (‘*‘) (2017年5月30日 20時) (レス) id: 4998cd34df (このIDを非表示/違反報告)
御伽(プロフ) - 新キャラ出ました!雨竹 葵(アマタケ アオイ)君です!白黒なのに葵という名前の意味は次回...! あと更新が非常に遅くなってすみません!完結も更新停止もしてませんからねー!! (2017年2月12日 14時) (レス) id: db9f641ea5 (このIDを非表示/違反報告)
ちさてぃ(プロフ) - 御伽さん» なるなる (2016年10月29日 19時) (レス) id: 4998cd34df (このIDを非表示/違反報告)
御伽(プロフ) - ちさてぃさん» あのね、元々アナログで描いてたのを線画輸出して修正して色付けて編集してってしただけだからそんなに時間かからなかったの (2016年10月28日 23時) (レス) id: db9f641ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冰鬆葉 | 作成日時:2016年7月25日 19時