38話 ページ38
「大丈夫だよ…ね。」
鏡の前で全身をチェックする。
とうとう約束の週末が来てしまった。銃兎さんとのお出かけだからといって気合が入りすぎだろうか。
服装は少しでも銃兎さんと釣り合うように深い色合いのワインレッドのワンピースをメインにキレイ目なコーディネートにした。
また、夕食を一緒に食べるとのことなので髪は1つに纏めて清潔感を保ちつつ、少しほぐすことで大人っぽく仕上げた。毎晩動画を見て勉強した甲斐があった。
そして目元を明るくするためにアイシャドウと重ねてラメを入れたり、内側からジュワッと色づくようにリップを塗ったりなど、メイクもいつもより工夫した。道具は安物だけど、何年も培った技術を舐めてはいけない。
もう身支度も済んだので、後は銃兎さんからの連絡を待つだけ。
日曜日でも銃兎さんは仕事があるらしく、終わったら迎えに来てくれるらしい。
それまでの間そわそわして落ち着かないので昨日までのトーク画面を見返す。
『明日はいつもより早く仕事を切り上げてきますね。』
そう昨日送られてきたメッセージに頰が緩む。
銃兎さんも少しは楽しみにしてくれているのだろうか、と思えて嬉しくなる。
さっ、そろそろ画面を戻さないと。もし今連絡きて既読つけちゃったら大変、
ピコンっ
……え。言った矢先からメールが届いた。一応確認する。
『仕事も終わってもうすぐそちらに着きそうです。』
無慈悲についてしまった既読マーク。
やってしまった…!どんだけ待ちわびてんだよとか思われたらどうしよう!トーク画面開いて待機してるなんて気持ち悪すぎでしょ。高校生でもないんだし…。
で、でも恥ずかしがってる暇はない。そろそろ下に降りないと。
早速調子を狂わされたけど、今日は目一杯楽しむぞ!銃兎さんから誘われた貴重な1日だしね。
マンションの駐車場に降りるとそこにはもう銃兎さんの車が止まっていて、銃兎さんは車から降りて立って待っていてくれていた。
「ごめんなさい、お待たせしましたっ!」
私の声に気がついた銃兎さんはこちらを向いた。
「あぁ、いえっ…………。」
いつものように「大丈夫ですよ」と言ってくれるかと思いきや一時停止してしまった。
「あ、あの…どうしました?」
「あっ、あぁ、今日は一段と綺麗ですね。…少し見とれてしまいました。」
「う、えと、ありがとうございます…。」
あまり容姿を褒められ慣れてないから気の利いた返しもできないけど、頑張って良かった。そう心底思った。
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レン(プロフ) - きのこさん» きのこさん、ご感想ありがとうございます!ウサちゃん、はまったようで良かったです笑完結後もコメントくださるととても嬉しくなります^ ^ (2020年10月24日 16時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - いや〜今更来ましたきのこです。あの、場違いかもですが、左馬刻様が銃兎さんのことを「ウサちゃん」って言ってたのが凄い肝臓にきました。というか、いやもう最後ページの部分とか瞬きしてなかったですねwwとても面白かったです!!更新お疲れ様でした!! (2020年10月24日 6時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 絢さん» お楽しみいただけているようで嬉しいです!私も絢様のコメントを拝見してニヤニヤしてしまいました…!笑ありがとうございます! (2020年1月21日 22時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
絢(プロフ) - こんなの言うの恥ずかしいんですがめっちゃニヤニヤしてみてます (2020年1月21日 13時) (レス) id: 15b677e26e (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - shinox2さん» うわわ!私もそこお気に入りなんです〜!笑お褒めのお言葉本当に嬉しいです、ありがとうございます! (2019年10月29日 16時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作成日時:2019年8月23日 23時