36話 ページ36
ただ今、スマホを呆然と見つめて十分が経過した。
ぼんやりと光る画面には、「採用」の二文字が。
就活を始めて2日目のことだった。
まず1日目に2つの会社に面接に行った。どちらもこじんまりとしていながらも雰囲気は柔らかく、働くには最適の場所だった。
私の履歴にもほとんど干渉されず、受け答えもしっかりできたので、1日目にしては上々だ、とそれなりに満足して、次の日届いていたメールを開いたらこれだ。
片方は案の定不採用だったが、それでも無事、職を得ることができた。
……えっ早すぎない??一週間やって全部落ちる覚悟くらいはしてたのに。
メールの最後は「それでは来週からよろしくお願いします」という言葉で締めくくられており、ようやく受かったのだと実感が湧いてきた。
「ふっ…ふふっ!」
堪え切れなくて手足をパタパタさせる。
やっと私、“普通”になれるんだ!
受かったこと、入間さんにも報告しなきゃ!
でも最近忙しいのか、また、私もいつもと行動パターンが違うこともあってか隣に住むようになってから1度も会ってない。だから今日入間さんが家に帰ってきたタイミングを見計らって報告しよう。
「…………」
うーん、数十分は待ってみたけどまだ帰って来ないみたいだからご飯の準備をしておこうか。
今日はお好み焼きの予定だからキャベツから千切りにする。包丁でキャベツを切り終わった時、
ガタッ
と微かに入間さんの部屋から物音がした。
入間さん帰ってきた!!
急いで外に出た。
インターホンを押してしばらくするとドアがガチャリと開いた。入間さんが顔を覗かせる。
「ああ、風上さん。どう……って、うわ!」
「へ?」
珍しく入間さんが素で驚いている。
「どうしました?」
「どうして片手に…」
そう指をさされた右手を見ると、包丁を握っていた。
「す、すみませんすみませんすみません!!!」
とりあえず包丁は秒速でキッチンに戻し、入間さんに報告があると言ったら部屋に上げてくれた。
「さっきはすみませんでした…。急いでいたもので…。」
「風上さんって実は抜けてるところありますよね。」
笑いを含みながら言われた。そりゃあいきなり隣人が包丁持って現れたらびっくりするよね。恥ずかしい…!
「それで、そこまでして伝えたい事とは何でしょう?」
「よくぞ聞いてくださいました!実はですね…、正式な就職先が決まったんです!!」
おぉ!と入間さんは感嘆の声を上げてお祝いの言葉をくれた。
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レン(プロフ) - きのこさん» きのこさん、ご感想ありがとうございます!ウサちゃん、はまったようで良かったです笑完結後もコメントくださるととても嬉しくなります^ ^ (2020年10月24日 16時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - いや〜今更来ましたきのこです。あの、場違いかもですが、左馬刻様が銃兎さんのことを「ウサちゃん」って言ってたのが凄い肝臓にきました。というか、いやもう最後ページの部分とか瞬きしてなかったですねwwとても面白かったです!!更新お疲れ様でした!! (2020年10月24日 6時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 絢さん» お楽しみいただけているようで嬉しいです!私も絢様のコメントを拝見してニヤニヤしてしまいました…!笑ありがとうございます! (2020年1月21日 22時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
絢(プロフ) - こんなの言うの恥ずかしいんですがめっちゃニヤニヤしてみてます (2020年1月21日 13時) (レス) id: 15b677e26e (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - shinox2さん» うわわ!私もそこお気に入りなんです〜!笑お褒めのお言葉本当に嬉しいです、ありがとうございます! (2019年10月29日 16時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作成日時:2019年8月23日 23時