33話 ページ33
外も大分暗くなった頃、玄関から音がした。
パタパタと玄関まで駆けつける。
「入間さん、おかえりなさい!」
「はい、帰りました。」
入間さんは穏やかな顔をして言った。
「お仕事お疲れ様です。実は夜ご飯を用意したんですけど、もう夕食済ませましたか?」
入間さんは驚いた顔をした後、にっこりと笑って「いえ」とジャケットを脱いだ。
…よし、こんなもんかな。
入間さんが座るテーブルに、完成した料理を運ぶ。
「お待たせしました、豚の生姜焼きです。…あ、苦手でしたらすぐ言ってください!」
「いえ、大好きですよ。まさか、夕食の準備までしてくれているとは思いませんでした。ありがとうございます。」
心の中で盛大に息を吐く。良かった〜苦手じゃなくて。もしもの時の為にコンビニまで走る準備はしていたが、やはりせっかく作ったのだから食べてもらいたい。
二人で「いただきます」と揃えて言ってから料理に箸を付けた。
「お味、どうでしょう…?」
恐る恐る尋ねる。
「とっても美味しいですよ。」
やった!跳ね上がるほど嬉しい。失敗しないような献立にしといて正解だった。
「そういえば風上さん、今日この後お仕事ですか?」
「あっ、それがですね…」
店長の計らいで一週間休みをもらった旨を伝える。
「それは良かったですね。貴女もひと段落ついたことですし一度まとまった休みを取るべきだと私も思っていたのですが、流石に2日連続で勝手に休ませるのは…と思いとどまりまして。」
入間さんはそう言って安心した顔で音を立てずにお味噌汁を啜った。
私のことを心配して、色々考えてくれる人が周りにいる。こんな環境はなかなか無い。恵まれていることをつくづく実感する。
何故だか急に視界が滲んできたが、それには気づかない振りをしてご飯を頬張った。
2人ともご飯を食べ終わり、食器洗いも終わらせたので、私は自分の家に帰る準備をしていた。
最後に、泊めてくださったお礼を言おうとソファに座っている入間さんと向き合う。
彼はもうスウェットに着替えているが、そのラフさでさえも絵になる。むしろ大人の余裕をも感じさせる。
その姿を目の前にするとどうしても恥ずかしくなってしまうのだが、意を決して口を開く。
「あの、1日泊めてくださってありがとうございました。本当に助かりました。」
よし、ここからが本題だ。
「…で、それでですね、え〜っと…」
「なんでしょう?」
入間さんは頭の上にハテナを浮かべている。
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レン(プロフ) - きのこさん» きのこさん、ご感想ありがとうございます!ウサちゃん、はまったようで良かったです笑完結後もコメントくださるととても嬉しくなります^ ^ (2020年10月24日 16時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - いや〜今更来ましたきのこです。あの、場違いかもですが、左馬刻様が銃兎さんのことを「ウサちゃん」って言ってたのが凄い肝臓にきました。というか、いやもう最後ページの部分とか瞬きしてなかったですねwwとても面白かったです!!更新お疲れ様でした!! (2020年10月24日 6時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 絢さん» お楽しみいただけているようで嬉しいです!私も絢様のコメントを拝見してニヤニヤしてしまいました…!笑ありがとうございます! (2020年1月21日 22時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
絢(プロフ) - こんなの言うの恥ずかしいんですがめっちゃニヤニヤしてみてます (2020年1月21日 13時) (レス) id: 15b677e26e (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - shinox2さん» うわわ!私もそこお気に入りなんです〜!笑お褒めのお言葉本当に嬉しいです、ありがとうございます! (2019年10月29日 16時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作成日時:2019年8月23日 23時