18話 ページ18
「やあ、Aちゃん。お金、用意できた?」
今日もルイは椅子に座って私を迎えた。
ただでさえじめっとしたところだが、雨が降っているのでそれは更に酷くなっていた。
私が渡したお金をルイは鼻歌を歌いながら数えている。
「はい、これで全額だね。おめでとう。完済だよ。」
笑顔でそう言った。
さっきから気になっていたのだが、今日は何処か空気が違う。いや、湿気とかそういう話ではない。
周りにいる男たちの雰囲気か?なんだか張り詰めた感じがする。
「ね〜、Aちゃん、前お薬やらないかって話したじゃん?あれもう一回ちゃんと考えてくれない?」
やっぱグラスホッパーじゃなくて、これ。と白い錠剤を差し出してきた。
「一回飲むだけでいいんだよ?」
ほらほら、と手をずいずい出してくる。
私は首を横に振った。
前みたいにすっぱり諦めてくれるかと思ったのが間違いだった。
周りの男たちが動き出したのだ。そして私を囲うようにして立った。
逃げなければ、そう思ったが屈強な男たちに囲まれれば、もう逃げる余地もなかった。
「ねえ、そろそろ喋ってよ。つまんないじゃん。」
「……」
「抑えろ。」
そうルイが言った瞬間、男たちにすごい勢いで床に押さえつけられる。
「いっ……」
痛みで声が漏れ出た。
「俺はAちゃんとお話ししたいの。だから喋って?じゃねーと…」
拳を振り上げた。このままだと殴るぞというサインだ。確かに、このままだったら埒があかない。黙ったままこの窮地を脱することは不可能に思えた。
思考だけは冷静さを保ち、震える口を開いた。
「…なんですか。」
そうそう、とルイは満足げに笑った。
「こーれっ、飲んで欲しいんだよねぇ。グラスホッパーよりも中毒性があって一回服用すると絶対やめられないんだよ。」
それに、と続ける。
「これAちゃんの両親がやってたやつなんだよねぇ。」
サァァっと顔が青ざめる。
「Aちゃん、働き者だからすぐお金貯めれるよね?こんなに早く借金返せるとは思ってなかったもん。はっきり言ってこんなに律儀にお金返すバカって俺らにとっちゃカモなの。だからAちゃんにはまだ俺らのカモで居て欲しいなぁーって!」
「嫌だ!!絶対に嫌だ!!!」
押さえつけられているのも忘れて暴れた。こいつは本気だ。今度は無理矢理にでも飲ますつもりだ。
ルイは大笑いした。不快な声。耳を塞ぎたいが、手足もいつのまにか紐で拘束されて動けない。
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レン(プロフ) - きのこさん» きのこさん、ご感想ありがとうございます!ウサちゃん、はまったようで良かったです笑完結後もコメントくださるととても嬉しくなります^ ^ (2020年10月24日 16時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - いや〜今更来ましたきのこです。あの、場違いかもですが、左馬刻様が銃兎さんのことを「ウサちゃん」って言ってたのが凄い肝臓にきました。というか、いやもう最後ページの部分とか瞬きしてなかったですねwwとても面白かったです!!更新お疲れ様でした!! (2020年10月24日 6時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 絢さん» お楽しみいただけているようで嬉しいです!私も絢様のコメントを拝見してニヤニヤしてしまいました…!笑ありがとうございます! (2020年1月21日 22時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
絢(プロフ) - こんなの言うの恥ずかしいんですがめっちゃニヤニヤしてみてます (2020年1月21日 13時) (レス) id: 15b677e26e (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - shinox2さん» うわわ!私もそこお気に入りなんです〜!笑お褒めのお言葉本当に嬉しいです、ありがとうございます! (2019年10月29日 16時) (レス) id: 964e945bea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作成日時:2019年8月23日 23時